妹からの警告 ①

「…おつかれ」


バイトも終わり

帰り支度をし帰ろうとした時

里紗が更衣室から出てきた


その顔は、酷く疲れているようだった。


「おつかれ、里紗…大丈夫?」


「…疲れたわ、

 バイトってこんなにきついのね。」


「バイトするの初めてだっけ?」


「えぇ、この喫茶店を時々

 手伝った事もあったけど

 やっぱりバイトの仕事量は違うわね」

 

「そうだね、それにいつもよりお客さんも

 多かったし、

 まだ初日だから余計に疲れたと思うよ」


「なるほどね」


今日は、

近くで何かイベントがあったらしく

その帰りで大量のお客さんがきた。


ちなみに、

日菜姉と梓さんは用事があるらしく

顔合わせ後すぐに帰っていった。


「まぁ、明日もバイト来るんだろ

 取り敢えず早く帰って休みな

 それじゃ……グフッ!」


そう言って帰ろうとすると

急に後ろから引っ張られる。


「…何一人で帰ろうとしてるの?」


「…は?」


「は?じゃなくて、

 私は、今から帰る

 そして、孝介もでしょ…つまり?」


「あー…それじゃ一緒に帰ろう」


「まぁまぁね」


(何がだ!!)

まぁ後が怖いから言わないが

        ・

        ・

        ・

「それで、なんで一緒に

 帰りたくなったんだ?」


里紗は、

いつもなら、勝手に一人で帰る性格だが

今回は、一緒に帰るよう促した。

つまり何かあるのだろう。


「それは、うら若き乙女が一人で帰るのよ、

 不安になるじゃない」


「いや、里紗の家すぐ近くだし

 いつも通る道じゃないか

 それに一緒に帰ってよかったのか

 彼氏に見られるかもしれないぞ」


「大丈夫よ、

 私の彼氏はそんな事で怒らないから

 …それに」


「それに?」


里紗は、スマホを取り出す。


「今、彼は実家近くのスーパーにいるもの」


「ふーん、連絡でもあったのか?」


「いいえ」


「…えっと、じゃなんで知ってんだ?」


「GPSに決まってるでしょ」


(何、その常識でしょみたいな顔)


「いやいやいや、まってGPS!?

 おかしいだろ」


「ハァ…孝介あのね

 自分の彼氏にGPSつけるなんて

 常識よ」


「いやなんだよ、その常識」


「ハァまったくそんな事も、

 知らないなんてそんなんだから、

 彼女できないのよ」


(あれっ俺が間違ってるの?)


孝介は、里紗の堂々たる態度を見て

自分が間違ってる気がしてきた。


「まぁいいわ、

 そんな事より話があるの

 ついてきて」


「えっ…あぁ」


二人は、近所の公園に向かった。


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