夏の始まり、姉との朝

ユサユサ


「…こうくん朝だよ…起きて」


「ん……おはようございます…姉さん」


朝、孝介は体をゆすられ夢から覚める。


「うんおはよう、朝ご飯の準備してるから

 顔を洗ってきてね」


鈴姉さんは、にこりと笑い

部屋を出ていった。


「あの姉さん」


「なに?」


「いやありがたい事なんですけど、

 朝の食事まで用意してもらうのは、

 申し訳なくて」


二人は、朝食を食べながら

話している。


「う〜ん、姉が弟の世話をするのは、

 当たり前だと思うけど…嫌?」


「嫌じゃないですけど…

 日菜姉にも言われてますから、

 自立しないとな〜って、

 それに、朝まで起こしてもらってますし」


「そう、でもこうくんは、自立してると

 思うよ、洗濯も掃除もできてるし、

 それに、私としてはこうくんとできるだけ

 一緒にいたいの」


姉さんは、寂しそうにしている。


(そっか、姉さんは離れていた時間を

 取り戻そうとしてるんだ)


そう思うと姉さんに強くいえなくなる。


「わかりました。

 でも俺も手伝いますので

 それで」


「こうくんと共同作業!?

 うんそれで良いようん」


姉さんが興奮気味に首を振ってる。


「それで、こうくん?

 これから、バイト?」


「ええ、今日は新しいバイトさんが

 入るようでその顔合わせに」


「……女の人?」


「えっ…確かそうみたいですけど」


「ふーん」


「えっと…姉さんは、

 これからどうするの?」


「私?

 私もバイトかな?」


「えっ鈴姉さん、バイトしてるんですか?」


「それは、私だって一人暮らしだもん

 バイトしないと

 まぁ在宅のバイトだけどね」


「在宅の!?

 すごいじゃないですか?

 ちなみにどんなのですか?」


「企業秘密だからごめんね」


(そっか守秘義務があるのか)


その後も色々な話をしたが

そろそろ時間と言う事で、

片付けを行い身支度を整えて、

二人共玄関から外に出た。


「それじゃ俺は、行ってきます。」


「うん気をつけて行ってきてね」


そうして孝介は、バイトに向かった。







「…行ったね」


鈴は、スマホを取り出し


「うん…大丈夫」


何かを確認したのちに、

自分の部屋に入った。



 

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