夏休み前の帰り道

放課後、靴を履き校門に向かう

そこには鈴さんが、佇んでいた。


(立ってるだけなのに絵になるな〜)


周りの下校している生徒達も

チラチラ鈴さんの方を見ている。


(っと急がないと)

孝介は、鈴の方に走って向かう

あちらも気づいたのだろう

小さく手を振っている。


「すいません遅れました。」


「大丈夫よ、こうくん

 私も今きた所なの

 …それじゃ帰りましょうか」


孝介と鈴は、二人並んで帰り道を歩く


「こうくん、今日一日どうだった?

 体調悪くなったりしてない?」


「大丈夫ですよ、鈴さん」


「…こうくん、今学校の外だよ」


「えっ」


「呼び方」


「…でも」


周りを見回してみて

うちの生徒はいないようだが

それでも聞かれる可能性はある。


「…こうくん」


鈴さんが悲しい顔をする。


(…ダメだな俺って鈴さんに

 こんな顔させるなんて)


「鈴姉さん、…これでいい?」


「うん!!」


ギュ

鈴姉さんが手を握る。


「姉さん!?ちょっと」


「フフいいの、姉と弟だから」


鈴姉さんは、楽しそうに握った方の

手をブンブンする。


いつもの鈴姉さんと違い

異様にテンションが高い


「ねぇ、こうくん?

 夏休みの予定はどんな感じなの?」


「えっと〜大体がバイトですかね〜」


「そうなの…できればちょっと

 二人で行きたい所があるんだけど

 予定を空けてくれないかな?」


「ええ、大丈夫ですよ」


姉さんと予定をすり合わせる。


「夏休み入ってすぐだけどここでいい?」


「はいそこにしましょう

 それで、どこに行きたいんですか?」


「……お父さんのお墓」


「お父さんの…」


鈴姉さんは、悲しそうに小さく笑った。


「…やっぱりダメだよね?」


「なっ!そんな事は、

 それにお盆もあるからその時でも」


フルフルと姉さんは、首を振る。


「ダメだよ、私はお爺さんには、

 嫌われているし

 私は………もう…家族じゃ」


「家族です!!確かに戸籍上では、

 もう繋がってないかもしれない

 でも!鈴姉さんは、自分の姉さんです」

 

孝介は、鈴の手を強く握り締め

鈴の目を見る。


「…こうくんありがとう

 でも、お爺さんと

 まだ会えそうにないから…」


「わかりました、

 じゃこの日にいきましょう」


二人は、その後も手を繋ぎながら帰った。










「………危険ね」

 

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