夏休み前の学校②

「…ごほんそれで、何で屋上に来たの?」


孝介と日菜は、二人で屋上に来ていた。

本当は、屋上は立ち入り禁止である。


「それは、ここなら人いないでしょ

 それに、先生には許可貰ってるから」


日菜姉が言うには、

夏休みに、天文部が夜間観察を行うらしい


そこで、前もって屋上のフェンスとかが

破損してないか確認する必要があり、

先生に屋上に入る許可を

もらって来たらしい。


「後で先生達も確認するらしいけど

 一応生徒会でもって事で」


「そうなんだ、

 でもなんで屋上でご飯食べるの?

 いつもは、生徒会室でたべてるし

 その後で屋上くればよかったじゃん」


屋上は、風は吹いているが

夏という事で日がさし暑い


「それは、せっかく入れるんだから

 職権濫用かもしれないけどさ

 屋上で食べたいじゃん」


「ハァー…日菜姉…」


「それに、これから話す事は、

 人に聞かれたくないし」


「話し?」


「まぁ取り敢えず食べよう!」


日菜は、バックからシートを

取り出し敷いて座り、

二つの弁当箱を出した。


「ほら、こうちゃん座って」


「うん」


促されシートに座り

日菜姉からお弁当を受け取る


蓋を開けてみると

色とりどりな野菜が入ったバランスのいい

おかずが入っており、

一目で手が込んでる事がわかった。


「…すごい、

 これ作るの大変だったでしょ?」


「ニヒヒ、そうでしょう〜

 さっ食べてみて?」


「うん頂きます…

 …もぐもぐ…うん美味しい!」


「そう?よかった〜

 こうちゃん病み上がりだから

 ちょっと薄味にしてみたんだけど

 よかった」

 

日菜姉は、嬉しそうに笑う




「ねぇこうちゃん…大丈夫?」


お弁当を食べ終わった後

日菜姉が心配そうな顔で

こちらを見ていた。


「うん?ああ体調は、大丈夫だよ」


「そうじゃなくて、鈴の事

 どう……大丈夫?」


日菜姉が自分を傷つけないように

言葉を選んで話しているのがわかる。


「うん…まだ何処か信じられない気持ちも

 あるけど、今の所受け入れられてるよ」


「無理しなくても大丈夫だからね?

 つらい時は、

 鈴と距離が取れるようにするから」


「大丈夫だよ、ありがとう」


前まで、お姉ちゃんに関する

思い出や出来事が起こると

パニックになっていた。


そのため、

日菜姉は過剰に心配してくれていた。


「自分自身、

 ゆっくり折り合いをつけていけると思う

 だから心配してくれてありがとう」


「…うん、こうちゃんがそう決めたなら

 信じるよ」


日菜姉は、立ち上がり少し歩き

こちらを振り向く

その顔は、何処か晴れ晴れしていた。


「よし!じゃこの話しは終わり

 それじゃ、ここ暑いし

 涼しい場所行こっか」


二人は、片付けを行い

階段から下に降りる。


自分は、思ってたことを日菜姉に伝えた



「日菜姉、屋上確認しなくていいの?」



「………忘れてたー!!」


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