3章 変わりゆく関係

三章プロローグ

「鈴さん今…なんて」


「聞こえなかったかな?

 私西宮鈴は孝介くん、君の元姉です

 …ただいまこうくん♡」



そう言った鈴さんは、

どこか恐ろしく美しい笑顔を見せた。


(…どっどう言う事!?

 鈴さんがお姉ちゃん?)


孝介は、今まで体調不良で寝込んでいて、

その上今、目の前で想像もつかなかった事が

起きていてうまく頭が回らない。


「突然言われても困るよね。

 …じゃ取り敢えず今日は帰るね

 あっでも何かあったら連絡して?」


そう言うと鈴は、部屋を出ていった。


その光景を孝介と日菜は、

ただ呆然と見送っていた。


「…って、鈴!!」


日菜は、ハッと正気に戻り鈴の後を追い

部屋を出て行く


「…………どういうことだよ…」


残された孝介は、ただ困惑するしかなかった。

 





【鈴視点】


「ちょっと待ちなさいよ!!」


こうくんの部屋を出て自分の部屋に帰ろうと

玄関から出た時、

後ろから日菜が呼び止めてきた。


「どうしたの日菜?」


「どうしたのって!!」


「せっかくゆずったんだから、

 こうくんの側にいないと、

 こうくんが寂しがるよ」


「なっ!……どう言うつもりなの?」


「どう言うつもりって」


「こうちゃんに、姉だと伝えた事よ!!」


日菜が詰め寄ってきた。


「何が悪いの?

 ただ事実を伝えただけじゃない」


「悪いに決まってるじゃない!

 言ったよね、

 鈴は、こうちゃんにとって害」


「…ねぇ、それってこうくんが言ったの?」


「っ…それは」


「言ってないなら私にとって関係ないわ」


「なっ!鈴あなたは、

 まだこうちゃんを傷つけるつもり?」


「傷つけるつもりはないわ、

 …それに、家族の再会を

 があって邪魔するの?」


「そっそれは…」


私が言いながら睨み付けると

日菜は、ひるんで何も言えなくなった。


(日菜ごめんなさい、

 あなたの弱み利用させてもらうわ)


「…日菜、

 私は、本当にあなたに感謝しているのよ

 こうくんがあんなにも

 いい子に育ったのは、

 あなたのおかげだもの」


鈴は、日菜の手を取り優しく握りしめ


「だけどねこれは、私たち家族の話なの

 だから…」


(あなたの事は、知ってるわ親友だもの

 前こうくんを助けようとして

 もっと事態を酷くした事があったのよね

 そして、それを今も後悔してる。)


そんな日菜が家族を盾にされて、

あなたが、関わったらと言われたら

どうなるか?


「…………卑怯よ、

 家族の問題って言われたら

 何も言えないじゃない」


「うん…ごめん、

 日菜の怒りもわかるつもり」


鈴と日菜は、見つめ合う


「……一つだけ約束して、

 出来るだけこうちゃんを

 傷つけないで」


「…うん、わかってるわ、

 ありがとう日菜」


その後、日菜は渋々こうくんの元に戻った。

その背中は、どこか悔しそうだった。


「ありがとう、日菜

 あなたは、本当に…」

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