鈴が守りたかった物 ①

祖父母の葬式から、

数ヶ月たち落ち着きを取り戻していた。


「フフ〜♪」


鈴は、ルンルンで家の廊下を歩いていた。


鈴は、手に持っていた通帳を見た。

そこには、ゼロがいくつも並んでいて、

とうてい中学生が持っていいはずのない

お金が入っていた。


「…やっと入ったわね…フフ…

 あのクズ共も最後にいい置き土産を

 置いていってくれたわ」


このお金は、祖父母たちの保険金だ。

何故その金が鈴の手元にあるのか?


それは、祖父母達が保険金の受取人を

私にしていたからだ。


理由は、簡単だ祖父と祖母は、

お互いに高額な保険金をかけた。


だが余りにも高額だった為

その受取人が祖父や祖母だった場合

あらぬ疑いをかけられるため

孫の為と言い訳を作るために

受取人を私にしたわけだ。


まぁ両方死んでしまったら、

どうしようもないが


この事を知った母は、

最初は、私にこんな大金を与えていいのか

心配していたが、

私が将来の為に使いたいとか理由つけて、

説得したおかげで私が管理する事になった。


…正直、母の事が心配になった。


「取り敢えず、

 祖父母もいない、金銭面も心配ない

 …これで、こうくんとまた暮らせる」


鈴は、フフと笑い思い浮かべる。

三人で暮らす幸せな生活を



「鈴〜!いないの〜?」


母が私を呼んでる。…なんだろう

母の元に向かう。


「お母さん、どうしたの?」


「ああごめん、お願いがあって」


「なに?」


話を聞くと祖母の部屋を

掃除して欲しいとの事だった。


「…あのね、この家女二人で住むには、

 広いじゃない」


「うん前にも、言ってたね」


「だから、引っ越そうと

 思っているんだけど

 なかなか物が多くて…」


「あぁ…」


周りを見ると祖父が集めた

壺やら絵画などかけられてた。

まぁ鈴から見ると高い物だけを寄せ集めた

悪趣味な趣味だと思った。


「だから業者さんを入れて

 処分しようと思ってて

 その前に部屋を掃除しないといけないの」


「なるほどねわかったわ、

 でも祖母の所だけでいいの?」


「うん、残りはおいおいね」


「わかったわ」


母と別れて祖母の部屋に向かう。



 

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