忌々しい日々 ③

鈴は、あの日から行動を開始した。

まず最初に手をつけたのは、

外見からだった。


鈴自身、外見は、母と比べると雲泥の差だと自覚していた。

その為、その当時ぽっちゃりだった体型も

スリムになるようにダイエットを開始。


他にも、化粧やファッション、所作など

さまざまな事を学んだ。


その結果鈴は、

誰もがうらやむ外見を手に入れた。


次に、勉強だ

鈴の学力は、その当時お世辞にもよくなかった。


その為当初は、いくら勉強しても

結果を出せずにいたが、

ある時から、メキメキと成績が良くなっていった


ただ、外見も成績も良くなったが、

その結果、嫉妬の対象になり

その上当時人気者だったらしい

男の子の告白を断ったことが引き金となり

クラスの中でいじめが始まった。


無視から始まり物を隠されたり

落書き、水をかけられたりと多岐にわたった。


(はぁ…うざい、

 あんたらに構う暇は無いのに

 ……さっさと

鈴は、行動を始めた。


何をしたか、簡単なことだ

物を隠す瞬間をカメラで撮り

それを匿名で教育委員会やらに送ったり

いじめた奴らの家の近所に、

一言入れて写真をばら撒いたりした。


他には、他の人間の持ち物を

ランドセルに入れていた。いじめっ子に、

で大声で指摘してあげた。


その結果いじめは終わった、

その後、いじめてた子達の性格が変わり暗くなり、転校や不登校になったが自業自得だし

興味がなかった。

ただ鈴は、腫れ物として遠ざけられるようになった。

         ・

         ・

         ・

月日は流れ

私は、中学生になった。

学校の方は、小学校から同じクラスの人間がいる為そこから話が広まったのだろう

変わらず孤立している。


そんな日々の中、大きな出来事が二つあった。


一つ目は、

母が精神科に通い続けたお陰だろう、

まだ不安定な所もあるが

まともに話せるほどに回復し


「…本当に大丈夫?」


「うん…

 いつまでも鈴に心配かけれないから」


一度は、入院までしたが

医者の許可も得て働き始めるまで回復した事。


鈴は母の回復に、嬉しくもあったが、

複雑な気持ちがあった。

理由は、祖父母どもが母に

再婚を仄めかし始めたからだ。


今は、まだ遠回しに言ってくるだけだが、

徐々に、酷くなるだろう。


二つ目は、

祖父母どもがこうくんの事を諦めた為だ、


あいつらは、やはりこうくんが

受け継いだお金まで、

手に入れたかったのだろう

ちょくちょく私にこうくんと接触させようとしていた。


その為私は、


「ねぇ鈴ちゃん?あの子えっと孝介くん?」


「…すいませんお婆様、

 私は、あの子のことは、

 名前も聞きたく無いんです。」


「そっそう?

 でも、一度は家族だったんだから」


「私は、一度も家族だと思ったことは、

 ありません」


こうくんを嫌っていると思わせた。


その効果もあってか、徐々に祖父母達は、

こうくんに興味を失った。


まぁその代わり、

中学生である私に

金持ちの婚約者を決めようと奔走している。

…気持ち悪い

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        ・

そんな日々を過ごしていたが

突然、転機が訪れた


「鈴?どうしたの」


「…?、何でも無いよ…お母さん」


「何でもなく無いわよ、顔色が悪いわ

 …大丈夫?」


「少し体調が悪いかな」


「そうなら今日は、大人しく寝てなさい」


その日は、朝から体調が悪かった為

母の言う事を聞いて、

ベットに寝る。


「ハァ、せっかくあのクズどもがいない

 休日なのに」


この日祖父母の二人は、

泊まりがけで旅行していた。

まぁその金は、私と母の物だが

…いい気なものだ


「ハァ……少しでも休まないと

 明日の夕方には、帰ってくるんだから。」


鈴は、この日めずらしく弱音を吐いた。

体調不良のせいか、

それとも祖父母がいないと言う安心感か

…どちらもだろう


鈴は、おもむろにベットの下に手を突っ込み

一枚の写真を取り出す、

そこには、孝介の姿があった


「はぁーこうくん♡

 お姉ちゃん頑張ってるよ

 …えらい?…フフありがとう」


鈴は、写真と会話し出した。


この写真は、

孝介との関係が切れた事を祖父母に示す為に、思い出の品を全て捨てた中

唯一残したもので、


鈴にとっては、ストレスだらけの中で

心の支えとなっていた。


「…ごめん…少しだけ…ね

 …もう嫌だ…気持ち悪い…つらいよ…

 助けて…お父さん…こうくん…」


鈴は、涙を流す

…当然だろう彼女は、

まだ中学生なのだから、


「…!!……鈴!!」


突然母の呼び声が聞こえる

どこか、焦っているようだ。


「どうしたんだろう!?

 ビクッ!!…お母さんどうしたの?」


母が走ってきて、

いきなりドアを開けて入って来た。




「ハァ…ハァ…あのね、今電話来て

 お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが

 病院に運ばれたって」

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