忌まわしい日々 ②

(今…こうくんの名前が聞こえた)


鈴は、祖父母から離れようとしたが

孝介の名前が出てきた為

動けずにいた。


「孝介って言うとあの子ですか?」


「ああ、あの忌まわしい奴の子供だ

 昨日、あちら側と残された財産の事で

 話し合いがあっただろう?」


「えぇ、話し合いの方は

 スムーズに進みましたよね」


「ああ、忌々しい奴だったが、

 お金だけは、残していったからな

 揉めると思ったが、

 あいつが馬鹿でよかったよ

 半分近くくれるなんて、

 血が繋がってない鈴の為に」


二人は、笑う

だが鈴は、涙が溢れてきた。


「それで、あの子供と何が関係が?」


「わからんのか?

 …引き取るんだよ

 そうすればうちに、残りの財産が」


「あなた、もう忘れたんですか?」


「ん?何を?」


「昨日話し合いの前に、駅前で

 あの子に会ったでしょう?

 あの時のあなた、

 あの子にボロクソに言ってたじゃない。

 そんな所にあの子が来たいと

 思わないでしょう」


「うっじゃどうすればいい?」


祖母は、考える。


「…そうね、鈴を使いましょう

 あの子に懐いてたらしいから、

 手紙やら、電話をかけさせれば」


「うーん、うまくいくかの〜」


「ダメ元で、やってみましょう

 ただ鈴が嫌がったらやらない方向で」


「まぁ確かに、

 残りの金を諦めてもいいだろう

 鈴も利用価値があるからの

 可能性が低い事で不信感与えるのも

 …まぁ利用価値がある内はだが」


「ホホホ」


「ガハハ」


二人は、笑う

        ・

        ・

        ・

        ・

        ・

鈴は、祖父母の所から離れトイレにいた。

「うっ……うぷ!!」


鈴は、吐いた

(気持ち悪い気持ち悪い、気持ち悪い!!)


おぞましい何であんな考えができるのだろう

祖父母たちいや、あのクズどもは、


(どうすればいいのどうすれば、

 家族を守れるの!?)


考えて考えて考える

…だが小学生の鈴には、わからない


歯を食い縛る涙がこぼれる

悔しい…無力な自分に…


「…とにかくこうくんだけは、守らないと

 私や母は、逃げれないと思うから」


バチン

頬を叩き気合を入れる


鈴は、この日から血のにじむような努力する

自分は、利用価値があると示す為に、

弟を守るために。

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