二人の姉④

さわっさわ


「ん……?」


何か違和感を感じ孝介は、

眠りからさめ目を開く


そこには、日菜姉がおり

自分の頭を撫でていた


「……日菜姉?」


「あっごめん起こしちゃった?

 ニヒヒごめんね」


「いや、それはいいけど何故ここにいるの?」


「ああ、それは」


日菜姉が言うには、

放課後、自分に用があった為すぐに、

クラスにわざわざ会いにいったが居らず。


孝介を探していると具合悪そうにしながら

帰宅していたと聞き連絡するも繋がらず、

心配したので来たと日菜姉は話した。


「でも、よく入れたね」


「それは、わざわざマスターに会いに行って

 合鍵まで預かってきたの」


日菜は、鍵を見せた


「それより、身体大丈夫?

 一応色々買ってきたけど」


「ありがとう日菜姉、だいぶ楽になってきたよ」


そう言うとホッとした表情を日菜は見せた。


(て……あれ?このままだと

 鈴先輩が買い物から帰ってきたら)

冷や汗がでてくる


「うん?……あっもしかして鈴のこと

 考えてる?」


「えっ…!?」


「悲しいな、私に黙ってるなんて」


「それは…」


「…まぁもう、鈴と話したから大丈夫だよ」


日菜は、そう言い微笑んだ

話したって何!?と思ったが雰囲気に

押されて聞けなかった


「ねぇ……こうちゃん」


日菜姉が、真面目な顔をしてこちらを見る


「一人暮らしやめない?」


「えっ?」


「だって、

 こうちゃん独り立ちできてないよね」


日菜姉は、淡々と説得してくる。


「自炊も鈴に任せたり、

 実際今だって体調壊してるし

 だからね、一旦一人暮らしやめよう?」


「でも…」


「でもじゃないの元々私は、

 こうちゃんの一人暮らしは、

 反対だったんだから」


確かに日菜は、

当初一人暮らしに反対していた。

ただ孝介自身引けなかったので

一所懸命説得して、渋々了解をとったと言う

過去があった。


「いや確かに鈴さんには、

 お世話になってるけど

 ご飯作って貰ってるのは、夕ご飯だけだし

 それも日菜姉、了解してたよね?」


前回、隣人にご飯を作って貰っていて

一緒に食べてると話した時は、

お礼は、ちゃんとする様にとしか

言ってなかった。


「まぁ今回、体調崩したのは、

 反省するけど俺は、一人暮らしを

 やめるつもりは無いよ」


確かに反省する所はあったが、

一人暮らしをやめるほどでは無いだろう

なのに何故日菜姉は、

頑なにやめさせようとするのだろうか?


「でも、鈴に迷惑でしょ

 …あっそうだ、マスターの所か私の家の

 近くに引っ越さない?

 そしたら、私が毎日ご飯作りに行くよ」


日菜姉は、いい考えと一人で納得している


…余りにもおかしいまるで追い出したいみたいだ

何か理由があるのだろうか?


「ねっいい考えでしょこうちゃん」


「…ごめん嫌だ」


「なんで…そんなに鈴と離れたくないの?」


「違うそんな事じゃなくて」


「違わないでしょ!!」


日菜姉が怒鳴る

でもこれで確信を持てた

日菜姉は、自分を鈴さんから引き剥がそうとしている


「なんでそんなに鈴さんと引き離そうとするの?」


「…………」


「日菜姉!!」


日菜姉の喋らない態度にイライラする。


「答えて!!」



「それは、私が君の姉だからだよ」


声の方を見るとそこには、鈴さんがいた。


「…鈴!!」


「鈴さん今…なんて」


日菜姉が怒鳴り、

自分が今の言葉を確認する


「聞こえなかったかな?

 私西宮鈴は孝介くん、君の元姉です

 …ただいまこうくん♡」



そう言った鈴さんは、

どこか恐ろしく美しい笑顔を見せた。


二章 二人の姉 終わり








どうも、ここまで読んでいただきありがとうございます。

ハートやコメント、とても励みになります。

さて本編の話ですが

この話で二章を終わりとさせて頂きます。

次は、三章の前に2.5章を挟みたいと思います。

それでは、これからもこの作品をよろしくお願いします。






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