二人の姉③

「こうちゃんを傷つけて捨てた女」


「…日菜?」


日菜は、鈴を睨み付けた

その目は、絶対に許さないと

言っている様だった


「ねぇ鈴、どのツラ下げてこうちゃんの前に

 現れたの?」


「それは……」


「こうちゃんにあんなひどい仕打ち

 したくせに、恥知らずな女」


日菜は、軽蔑した眼差しを向ける

勿論鈴も黙ってままではいられない


「確かに昔こうくんを傷つけた…

 だけど貴方になんの関係があるの!?」

 

「関係ある!!

 私は、こうちゃんの側にいて支えてきたの

 だから知ってる

 こうちゃんがどれほど

 苦しみ続けたか!!」

「まぁ鈴、あんたには、

 わからないでしょうね

 母親と一緒に捨てた貴方には」


「ッ!!私だって…」


「苦しかって?笑わせないで!

 こうちゃんは、一人で苦しんでいた

 周りには、茶化され白い目で見られる

 私は、必死に守ろうとしたけど

 …家族じゃ無いから」


日菜は、拳を握る強く強く

苦しみ涙する孝介を思い出して


「やっと…やっとなのこうちゃんが

 立ち直ってきたのは、それなのに…

 答えて!!西宮鈴

 何の目的でこうちゃんに近づくの」


日菜は、問いかける

今の日菜の前では嘘はゆさないだろう


「それは、

 当然こうくんとまた家族になる為よ!!

 確かにあの時は、守る力がなくて

 別れるしかなくてこうくんを傷つけた

 それは、申し訳ないと思ってる」

「だけどね!!

 今の私は、違うあの時の私じゃないの

 今ならこうくんを守れる!!」


鈴は、言い放つ…が

日菜には、響かない一つため息をして


「そんな物今のこうちゃんには、必要ない

 それに今まで見向きもしなかったくせに

 ……あぁそう言う事」


日菜は、苦笑いしながら言う。


「今

 なっちゃったんだね

 鈴、あった時から

 家族の話嫌がってたもんね」


「違う!!

 捨てたのは私!!あんな奴、家族じゃない

 私の家族は、こうくんだけなの!!」


「じゃなんでこうちゃんに今まで、

 

 電話なり手紙なり送れたよね」


「ッ…それは……」


「答えて」


「……」


鈴は、言葉が出てこない。


「………なんだ、こうちゃんに

 だけじゃん」


日菜は、鈴に近づき。


「その程度の気持ちでこうちゃんに

 近づかないで

 今の鈴は、こうちゃんのにしか

 ならないから」


と言い放ち去っていった

それを鈴は、見送るしかなかった。

 

 

 



  

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