孝介と風邪

キーンコーンカーンコー


「はい終了、筆記具置けよ

 じゃ後ろから回収しろ」


教室のなかは、緊張感から解放されたからだろう安堵感が広がっていた。


トントン

「よし、お前らこれで終わりだ、

 今日は、ホームルームは

 無しで帰っていい」


テストの監督者だった担任が言うと

クラスから歓声が上がる。


「おい、静かに!

 それで、お前らテスト終わったって

 今日半日だからって悪さするなよ、

 教師陣は、採点作業で忙しいんだ

 わかったな!!」


「「「は〜い!!」」」


「よし、じゃ解散」


担任の言葉でクラスメイトは、

各々行動を起こしていく。


「……ふぅ、終わった」


「そうだな、やっと終わったな

 手応えはどうだ」


秀助が話しかけて来た


「…あぁ、ばっちりだ」


あの勉強の後から、恥ずかしさと罪悪感から

鈴先輩と少し気まずい空気が流れている。


先輩は、いつもの様に接して来てくれるが

どうしてもこちらが

意識してしまっている為だった。


「ふーん、そっか……てか、

 孝介少し顔色悪くないか?」


「うん?…あぁ確かに今日は身体が重いな」


孝介は、モヤモヤした気持ちから逃げる為

睡眠時間も削ってテスト勉強をしていた

その結果が体調不良だろう。


「本当に大丈夫か?

 アレだったら家まで送ろうか?」


「大丈夫、身体が少し重いぐらいだし

 帰れるよ。

 まぁ寝れば治るだろうし心配ありがとう」


「本当か?

 とにかくなんかあればすぐに頼れよ」


秀助は、最後まで心配していたが

渋々帰っていった

       ・

       ・

       ・

「…秀助にあんな事言ったけど

 やばいな…」


孝介は、あの後無事に家に帰ったが

着替えた後、緊張の糸が切れたのだろう

その後容体が悪くなり

家のベットに倒れていた


「はぁ、身体が熱い…水飲みたいけど

 …動きたくないな」


どんどん身体が悪くなる

ついに孝介は、意識を手ばなす…

        ・

        ・

        ・

『こうくん!?』


暗闇の中…の声がする

気になって少し目を開けてみる


『大丈夫!?こうくん』


お姉ちゃんが泣いているのが見える

(まったくお姉ちゃんは、…泣き虫なんだから)


「…大丈夫だよ、


孝介は、優しく微笑んで再び目を閉じた





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