孝介と鈴とお姉ちゃん
「懐かしい」ボソッ
「何が懐かしいの?」
鈴先輩が首を傾げながら聞いてくる
(やばっ、つい口に出しちゃった)
「…こうくん、私には話せないことなの?」
『こうくん』
ッ!まただ
最近、鈴先輩を見るとお姉ちゃんを
思い出してしまう
スッ
「えっ!?」
先輩の手が自分の手を優しく包み込む
「大丈夫だよ、私は君の味方だから
何の心配もしなくていいよ
だから思ってる事があるなら
話して欲しいな」
先輩が優しく微笑む
(…そうだな……先輩にだったら……)
「……少し…昔の事を思い出してました」
「昔の事?」
「…はい…家族四人だった頃の」
「ッ!!」
先輩が何処か緊張した面持ちで
こちらを見る
本当に話していいのか今も悩んではいたが
話し始めると止める事が出来ず話し続けた
お母さんの事、お姉ちゃんの事、
あの日の思い出、そして現在のこと
「……って、話です。
すっすいません、自分語りをしてしまって
恥ずかしい」
ポロッポロポロ
先輩を見ると号泣していた
「せっ先輩?」
「恥ずかしくないよ!私は!!
…私は聴かせてくれて嬉しかった」
「……ありがとうございます」
「…ねぇこうくんは、
………お姉ちゃんに会いたいとか思う?」
「お姉ちゃんに…ですか」
(…どうなんだろう、会いたいんだろうか)
前までは、出来るだけ忘れようとしていた
思い出すだけでもつらかったから
だけど今は…
「正直分かりません
今、会った所で何の意味があるのかとも
思うし、あっちも迷惑だと」
「迷惑じゃない!!」バンッ
先輩が机を叩く
だがすぐに我に返ったようで
「ごっごめん、
…でもね私思うんだ
お姉ちゃんも君に会いたいと思ってるって」
「はは、…それならいいですけどね」
「だってきみは、優しくて素敵な男の子
なんだから」
鈴先輩は、優しく微笑む
(先輩は、どこまで優しいんだ)
「…ありがとうございます
ハハ、鈴さんに話してよかったです」
「フフ、そう?よかったアムッ」
先輩が笑いながらケーキを食べた
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