孝介と過去

お姉ちゃんが小四で

自分が小三の時

俺は、ある問題に頭を抱えていた


(ホワイトデーのお返しどうしよう!!)


あの当時ホワイトデーと

言う物を知らなかったが

友達からその存在を聞いた時


(やっやばい、どっどうしよう)


自分は、焦った

ホワイトデーは、明日

それまでに、お姉ちゃんが喜んでくれる物を

用意しなければいけない


何故こんなにも焦っていたかと言うと

お姉ちゃんから、貰ったバレンタインチョコ

がとても嬉しかったからだ


「こうくん、待っててね私頑張るから!!」


とバレンタイン前のお姉ちゃんは、

とてつもなく気合を入れていた

何故かと言うと


前年お姉ちゃんが初めて

自分にチョコを渡すためと張り切っていたが


『せっかく、ゴホッゴホッこうくんにチョコ

 あげたかったのにごめんね』


お姉ちゃんが風邪をひいてしまって

作れずとてつもなく落ち込んでいた


その為に今年こそはと数日前から準備を重ね

バレンタイン当日には、

絆創膏をつけた手で渡された時は

とても嬉しくそのお返しと言う事で

大きなプレッシャーを感じた


(どうしよう何がいいかな?

 確か物よりお菓子の方がいいんだよね

 でもお姉ちゃんみたいに手料理は、

 できないし)


「孝介くんどうしたの?」


自分の悩んでいる姿を見て

心配したのであろう

お母さんが話しかけてきた


「お母さん、ちょっと相談にのって」


お母さんは、

いつも血が繋がってない自分にも

優しくしてくれて大好きだった


「うんいいよ、何が悩み事かな?」


お母さんは、自分の隣に座りながら

頭を撫でてくる


「あのホワイトデーの事で」


「ああホワイトデーね

 もしかしてお返しを考えてるの?」


「うん、お姉ちゃんに

 何をあげればいいんだろうと思って」


う〜んとお母さんは、考えていた


「お姉ちゃんは、

 なんでも喜ぶと思うけどな

 …そうだケーキとかどう?」


「ケーキ?でも僕そんなの作れないよ」


「大丈夫私と作ろう」


「…うんわかった!」


と言う事でホワイトデー当日

二人でケーキを作る事になった


まぁもちろん家には、お姉ちゃんがいるので

今考えるとバレていただろうが

気を使ったのだろう


お姉ちゃんは、

その日は部屋からあまり出てこず

出てもキッチンに寄り付かなかった


その後

「できた!!」


「うん、上手くできたね」


お母さんの協力(8割)の

おかげで上手くできた


「よしそれじゃお姉ちゃん呼んで来ようか」


うんと元気よくお姉ちゃんの部屋に向かう


コンコン

「お姉ちゃん!」


「はーいどうしたの?」


お姉ちゃんがドアを開ける


「あっあの、あのね取り敢えず

 リビングに来て?」


「フフ、…うんすぐ行くよ」


自分とお姉ちゃんは、一緒にリビングに向かった


そこで

「あのお姉ちゃん、

 これ…ホワイトデーのお返し」


作ったケーキを差し出す


「えっこれもしかして

 こうくんが作ったの?」


「…うん、頑張った」


ガバッ

お姉ちゃんが自分を抱きしめる


「凄いよこうくん、

 ありがとう嬉しい!!」


恥ずかしさもあったがそれより

喜んでくれたことが嬉しかった


パンパンと手を叩き


「さぁ早速食べましょうか?

 多めに作ったから家族全員で食べましょう」


「「うん」」


その後お父さんも呼んできて

四人で楽しくケーキを食べた


「こうくん」


「ん?」


「ありがとう美味しいよ」


その時の笑顔は、今でも忘れられなかった



 






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