先輩とこうくん③

「……まったくたら」


「……え」

ドクン

心臓が跳ねる

忘れたはずの記憶が蘇る

「なっ……なんで」


「えっ…………ごっごめん

 …この呼び方…あの…その

 ……嫌いなの?」


鈴は、何かに怯えるような声で聞いてきた


「いや!……その」


「ごめんね、孝介くんよりこっちの方が

 親しみやすいかなと

 思って呼んでみたんだけど」


そっそうだよな!!

先輩は、もっと仲良くなりたいから

呼び名を考えてくれたんだ

それが偶然、合致しただけだ


「図々しかったよね、…ごめん」


うっ……どうすればいい

自分は、このままでいいのか

自分の過去のせいで鈴先輩を傷つけて

このまま引きずり続けるつもりか

……そんなのいいわけない!!


「いや先輩は、悪くありません

 ただビックリしただけです」


「本当?」


「えぇ本当ですだから、

 …………自分の名前は好きに呼んで貰って

 構いません」


「じゃ、…こうくん」


「……はい、鈴先輩」


少し心がモヤモヤするだけど、

過去を乗り越えるいい機会だ


「…私も鈴でいい、先輩いらない」


「いやそれは」


「いいから、鈴ってはい言って」


「……鈴…さん」


「うん、それでまぁいいか

 じゃこれからまたよろしくね

 こうくん」


「はい鈴さん」


先輩は、お粥を掬い口に入れる


「フフ、もぐ………グフッ!!」


熱かったんだろう先輩がもだえている

「ちょ、水です」


先輩に水渡す


「うぐゴクゴク……ハァー舌がヒリヒリする」


「ハハハ!!」


「なっ笑うことないじゃない」


その後も

先輩は、お粥を食べ

自分は、いつしか心のモヤモヤが消えていた




「ご馳走様でした」


「はい、先輩顔色も良くなってよかったです

 お粥も全部食べれましたし」


「うん、これもこうくんのおかげだよ」


「それは、良かったです、

 でも今日は、一様安静にしてください

 明日学校ですから」


「あぁ、そうね

 生徒会の仕事もあるし

 体調気をつけないとね」


これは、あの件を言うの今じゃないか?


「あの先輩、生徒会の事ですけど」


「生徒会がどうしたの?」


「実は、……自分生徒会の仕事手伝う事に

 なりまして」


「そっそうなの!?

 つまり生徒会の時もこうくんと一緒!?」


「はいそう言うことです

 えっと…いや」


「いやなわけない!!」


食い気味に否定された


「でも、何で?」


「えっと、知り合いの先輩から誘われまして」


「……それって日菜の事?」


「はい、小中の先輩なんです」


「……そうなんだ

 取り敢えずそういうことならよろしくね」


「はい、よろしくお願いします」


「うん、じゃ…もう遅いし

 そろそろかえるね」


「あっはい」


先輩は、時間を確認した後玄関へ向かった


「おやすみ、こうくん」


「はい、お休みなさい鈴さん」


先輩は、帰って行った






その夜

「……………寝れねー‼︎‼︎」

ベットから鈴の匂いがして

孝介は、悶々と夜を過ごした






どうも

今回で1章を終了させていただきたいと思います

ここまで読んでくれた皆様ありがとうございます。

2章も頑張って描きますので

孝介、そして二人の姉、鈴と日菜をよろしく

お願いします











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