先輩と追及

「……ねぇ孝介くん

 昨日?」


!?

先輩の黒い目がこちらを見つめる


「えっとなんで…ですか?」


「孝介くんの布団から

 孝介くん以外の女の匂いがするの」


「…あ」

冷や汗が滝のように流れる


「家族?違うよね、確か君はお祖父様と二人で暮らしてたはずよね」


「なんでそれを」


「私だから」


「えっ」


「まぁそんな事は、どうでもいいでしょ

 ねぇ誰なの教えてくれる?」

「ねぇ教えてくれるよね

 孝介くん素直な子だもんね

 だからさ………早く教えて」


どうする

冷や汗が止まらない頭が真っ白で何も考えられないただここから逃げ出したい

だけど、先輩の腕が!目が!

逃げさせてくれない


……無理だ嘘はつけない


「…昨日来ていた人は」


「来てた人は?」


「…………恩人です」


「恩人」


「ええ、小学校の時色々あって、

 一人になった時、助けてくれたのが

 その人とその家族で

 時々様子を見に来てくれるんです」


「!!、そっそうなの」


「はいだから、先輩が思ってるような事は、

 ありませんよ

 ただ昨日は、雨がひどかった事もあり

 泊まって行ったんです。」


「そっそう、ごめんね」


先輩は、握っていた手を離し

申し訳なさそうな顔をしている


「誤解が取れてよかったです」


「本当にごめんなさい、

 急にベットに運ばれて、

 そのベットからは、誰かわからない

 女性の匂いがして

 孝介くん女性連れ込んでるの?とか

 私今から、何されるのとか思って

 混乱しちゃった」


「へっ?」


鈴の顔が笑顔になる

「あれ?フフ

 もしかして今から何かされちゃうの?」


「体調悪い先輩にそんな事しません!!」


「体調良ければするんだ」


「えっ…しませんて!!」


つい言い淀んでしまった


「とっとにかく、体調悪いんですから

 少し休んでください」


鈴先輩は、少し元気になったようだが

まだ顔色が悪い


「うん、それじゃ少し休ませてもらうね」


「はい、おやすみなさい」


先輩が横になったのを見て寝室を出る




「…ありがとう、こうくん」







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