日菜姉の追憶③ 【日菜視点】

あの日から私は、丁度冬休みでもあった為

毎日孝介くんに会いに行った、


「こんにちは!!孝介くん」


「…………こんにちは」ダッ


挨拶を返すと孝介くんは、店の奥に引っ込んだ

次の日も


「こんにちは!!孝介くん」


「…………こんにちは」ダッ


また次の日も


「今度こそ、こんにちは!!」


「…………こんにちは」ダッ


ニヤッ

「あまい!!」


行動を先読みして回り込み捕まえようとするが

スカッ

「あれ?消えた!!」


捕まえたと思った瞬間

孝介くんが消え気づいたら後ろにいた


「なっなんて子なの、私を抜くなんて!!」


「…………」ダッ


「あっまって、む〜〜そっちがその気なら!」

        ・

        ・

        ・

「こんにちは!!」


「…………こんにちは」ダッ


今日も挨拶を返すと孝介くんは、

店の奥に入った


「ニヒヒ、

 孝介くん今日は、逃がさないよ」


日菜は、ニヤリと笑った






「………ハァ」


孝介は、店から奥に入り

2階の自分の部屋に戻っていた


「………何なんだろうあの人」


孝介は、日菜の事を思い出す

毎日、店に来て僕に絡んでくる女の子

最初は、急に話しかけて来て鬱陶しかった


「まぁ……最近はちょっと…」


「うん、最近は?」


「最近は……ちょっと嬉しい」


「そう?

 私もそんな事思ってくれてうれしいわ」


「うん………………え?」


孝介くんは、ギギギと首を回しこちらを見る


「こんにちは」ニヤ


「なっなんで、勝手に入って」


「安心して、マスターには了解貰ってるから」


「僕の了解は?」


…………ニコッ


「いや!出てってお願いだから」


孝介くんが、手を伸ばして私を押し出そうとするが

「あっ」


つまずきこちらに倒れかかって来た為

受け止め抱き締める


「おっと、大丈夫?」


「あっごっごめんなさい」


孝介くんが顔を真っ赤にして離れようと

するが私は、離さない


「えっあの離してください

 あの……」


孝介くんは、さらに諦めず離れようと反抗するが


「ヨシヨシ、落ち着いてね」


と言って落ち着かせようと頭を撫でる

すると

徐々に孝介くんは、大人しくなった


「……ねぇ、何で孝介くんは、

 私を避ける、いや私だけじゃないね

 マスターも、

 他にも君に関わろうとする人達を

 遠ざけて一人になろうとするの?」


孝介くんは、ビクッと体を震わせた後


「……どうせ、みんな…いなくなるから」


「みんな?」


「お父さんが事故でいなくなっちゃって、

 そしたら、お母さんと……お姉ちゃんも

 いなくなっちゃった。」


「え」


「それでね、何でお母さんとお姉ちゃんも

 いなくなったのか、知りたかった

 そんな時にね、お母さんの方の

 お祖父ちゃんとお婆ちゃんに会ったの

 だからね……聞い…て…みた……の」


孝介くんが顔を上げる

その瞳は、涙が流れていた


「そしたら

 ……お母さんとお姉ちゃんにとって、

 君は、最初から邪魔者だった

 どうなるか心配だったが

 本当によかったよ、

 二人が君とはなれッ」


「もういい!!もういいから!!」


孝介くんの言葉を遮る


「…ごめん!!ごめんね!!

 つらい事思い出させて」


私は、号泣する孝介くんを強く強く抱き締める。


「くうぅぅ、わァァァァァァァァァ」



…許せない!

この子にそんな酷い事言うなんて

……許せない!!

この子を一人にするなんて

………絶対に許せない!!!

こんなに傷ついてる孝介くん見捨てるなんて





……決めた!!

孝介くんを祖父母が母親がそして姉が

捨てると言うなら


「……大丈夫、私が側にいるよ」


ー私が、孝介くんのなる!!

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