日菜姉の追憶② 【日菜視点】

最初こうちゃんを見た時の印象は、

大人しく小さくて可愛い子だなと思った


「えっと私の名前は、

 東条日菜って言います

 君の名前は?」


私は、こうちゃんの隣に座った

私は、この時期自他共に認める

人見知りだったなのに、

何故か、こうちゃんと話したいと

この時は思った


「!?、…………えっと……孝介」


こうちゃんは、隣に突然座った、

私にびっくりした様子だった


「孝介くんね、孝介くんは、何年生?」


「……四年生」


「そうなんだね!私は、五年生

 じゃ君は、後輩くんだね」


コクッ

孝介くんは、何処か恥ずかしそうに

首を縦に振る


「孝介くんは、今日一人できたの?」


「………」


「あっもしかして、

 お母さんとか待ってるの?」


「!!」


その言葉を聞いた時

孝介くんは、ビクンと身体を震わした後

弱々しく


「…いない、僕には、

 家族なんていない!!」


「えっ孝介くん!?」


突如叫んだかと思えば、椅子から降り

店の奥へと入っていった


コトッ

「……孝介、

 ハァすまないね日菜ちゃん、

 驚かしたろう」


マスターがケーキと紅茶を私の前に置く


「あっあの私、孝介くんに何かしてしまったんでしょうか?」


「いや君は、悪くないよ

 ただ、どうしようもない事情があってね

 孝介は、

 今心に傷を負ってしまったんだよ」


マスターは、悲しげな表情で

「私も何とかしたいと思っているが

 心を開いてくれなくてね

 結局、一人にしてしまってるよ」


「そんな…」


私は、店の奥へと視線を向けた


「日菜ちゃん、よければ孝介の話し相手に

 なってくれないか?」


「えっ」


突然の提案に驚いたが


「う〜んわかりました、話し相手なります」


孝介くんのことがほっとけなくて

話し相手になることを決めた


「そうか、ありがとう」


マスターが頭を下げる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る