姉と追憶② (鈴視点)
私とコウくんは、実は血が繋がっていない
私は母の、コウくんは父の連れ子だった
母が、再婚したのが
私が小学校一年生の時でコウくんに出会った
最初会った時コウくんは、ビクビクしていた
「ハジメマシテ、よろしく…ね」
「うっうんよろしくおねがいします。
………おねいちゃん」
コウくんが首をコクッと縦に振る
その時、幼い私に電流がはしる
ーーっ、かわいい!!
「いっしょにあそぼう?
コウくん」
「うん!」
あの時、私は姉になった
その日から私たちは、ずっと一緒にいた
遊ぶ時も、お風呂入る時も、寝る時も
「フフ、鈴と孝介くんは、仲良しね」
「とうぜんだよお母さん!
わたしコウくんだいすきだもん!!」
「うん、ぼくもおねいちゃんだいすき!」
「こっコウくん」
ギュ
コウくんに抱きつく
幸せだった毎日楽しかった
あの日までは、
私が小学校五年生になり
コウくんが四年生なった頃
事故でお父さんが亡くなった
「イヤァァァァァァ!、
アナタァァァァァァ!」
母が泣き叫ぶ
「おねいちゃん、お父さんがお父さんが」
コウくんが泣いている
ギュ
「うん、うん」
私も悲しかったし、泣きたかったが
それよりもコウくんを守らないと思う
気持ちが強かった
葬式も終わり日常も落ち着きを取り戻しつつ会った時
「えっ、引っ越し?」
母が、
「うん、おじいちゃんたちのところに行こうと思ってるのその方が何かと安心かと思って」
「うっうん、わかったコウくんには、
まだ話していないの?
だったら私から言うよ
準備もしないといけないし」
母が辛そうに
「あのね、お祖父ちゃんの所に行くのは
私と鈴、二人だけなの」
「…………え」
その後母が語り出した
葬式の後両方の家族が集まり話し合いが合ったらしい
内容は、孝介をどうするのかだった
当初母は、自分が育てると言っていたが
孝介は、母と私と血が繋がっていない事
それにシングルマザーで子供二人は、
経済的にも精神的にも
きついだろうと説得され結局
父方の祖父が引き取ると言う事になったらしい
「いやっ!!
コウくんと離れるなんて!!」
当然私は、反対した
だけど子供の私の声は届かなかった
お別れの日
「いやだいやだ、
お姉ちゃん行かないで!!」
コウくんが泣いている
ーッ、コウくんを抱きしめたい
抱きしめてずっと一緒と言ってあげたい
……だけど
「ごめんね、ごめんね、必ずまた会えるからね、またね、コウくん」
それは、できない
私は、車に乗り発車する
「まって!まって!!」
コウくんが、祖父の手を振り切り追いかけてくる
「行かないで」
必死に追いつこうとしている
コウくんの姿に目が離せない
「お姉ちゃん」
ーッ!
「僕を一人にしないで!!」
ア、………アアアアアアアアアアア!!
私は、泣いた
その日私は、コウくんを捨てた
どうも、ここまでお読みくださりありがとうございます。
次、主人公視点に戻ります
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