第14話 初めての朝(ジークフリート)

「…ローゼリア?」


これはいったいどういう状況だ?

俺の胸にもたれかかるようにローゼリアが眠っている。

金の髪が俺の身体にかかるように流れていて、

寝息に合わせてふるふると動いている。

ふれている身体から体温を感じて、あれっと思う。


…なんで俺は夜着を着ていないんだ?

一応、下の夜着は履いてるかな…感覚的に。

で、ローゼリアから布の感じが伝わってこないんだけど…まさか?


ローゼリアの髪を少し上げて見ると、ローゼリアの肩が見えた。

何も着ていない素肌が見えて、慌てて髪をおろす。


なんでだ!?

昨日は薄いとはいえ、夜着を着てたよな??

って、ローゼリアは下着をつけてなかった…よな。

ということは…このぬくもりって…。



「…ん?…おはようございますぅ。」


「あ、ああ。おはよう。」


「昨日はジークフリート様が戻ってくる前に寝てしまって…

 待てなくてごめんなさい。」


「いや、それはいいよ。疲れてただろうし、寝てていいって言ってあったし。

 …って、起き上がっちゃダメ!」


「え?」


「なぜかわからないけど、俺も君も夜着を脱いでしまってるみたいだ。」


「あ、これは自分で脱いだんです。

 こういうの着慣れなくて、眠ってる間に邪魔になってしまって…。」


「ローゼリアが自分で脱いだの?…俺は?」


「多分…暑いって言っていたので、ご自分で脱いだのではないかと思います。

 それで、こうなっていたのは、脱いだせいで朝方寒くなったのかと…。」


あぁ、なるほど。人と一緒に寝るのに慣れてないから、

体温で熱くなってしまって夜着を脱いだと。

でも、早朝は肌寒いから、ローゼリアを抱き寄せて寝ていたと…。


「なるほどね…って、起き上がっちゃダメだったら。」


「どうしてですか?」


「そういう風に起き上がったら、ローゼリアの裸が見えてしまうだろう。

 ほら。見えてるけど、良いのか?」


上半身だけ持ち上げるように起き上がったローゼリアの肌が、

朝日が差し込む明るい部屋でよく見える。

長い髪で隠されているところもあるけれど、両胸がはっきりと見えてしまっていた。


「…失礼しました。」


指摘すると恥ずかしかったのか、

真っ赤になったローゼリアがまた俺の胸にもたれかかる。

これはこれで押し付けられた感触が…。


「俺はローゼリアの綺麗な肌が見えてうれしいけど、まだ恥ずかしいだろう?

 俺が先に部屋から出るから、ゆっくり着替えるといいよ。」



「…はい。」


そうは言ったけれど、俺はすぐに起き上がることはできず、

いろいろと落ち着くまでローゼリアの髪を撫でていた。

そうしているとまだ眠かったのかローゼリアがうとうとし始めた。

ローゼリアがしっかりと眠ったのを確認して、

起きないようにそっと身体を離して寝台から出た。


…ローゼリアが慣れるまで待つつもりだったけれど、

どこまで我慢できるのか、ちょっと自信を無くしそうで。

まだ早朝だったけれど、屋敷の庭で落ち着くまで素振りすることにした。



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