いつもと違う才華のご奉仕だぜぇ!

「いらっしゃい甲斐君」

「……おっす」


 才華が今住んでいる祖父母の家に俺はやってきた。

 こうしてここに来たのは才華のことをどうか見てほしいと、心がボロボロだった彼女のことを頼みに来た以来だ。


(……相変わらずの特大ボリュームだぜ)


 半袖という薄着だからこそ、その体のラインがこれでもかと分かってしまう。

 とはいえ既に俺は才華と裸の付き合いを行い、彼女の体を触るだけでなく色々してもらっている仲なのでこんなことで照れはしない。


「入って」

「おうよ」


 照れはしないがドキドキは当然していた。

 今日のことを考えて俺は数日ずっと我慢していたことがあるので、早く彼女の部屋に向かって思う存分楽しみたいところである。

 ただその前に彼女の祖父母と話をする必要がありそうだが。

 才華に通されたのは一階のリビング、そこで彼女の祖父母が待っていた。


「やあ真崎君。あの時以来だな」

「ご無沙汰してます」


 頭を下げて俺は二人と相対するように座った。

 すぐ傍に才華も腰を下ろしたのだが、ピッタリと肩と肩が触れ合うような距離で流石に緊張する。

 というか客観的に俺たちを見た時、完全に娘さんを俺に下さいというアレにしか見えないような気がするぞ。


「今日はありがとね? 一度、改めてお礼を言いたかったのよ」

「お礼……ですか?」


 俺が首を傾げるとお爺さんとお婆さんが頭を下げた。


「もしもあの時、孫娘のことに気付けなかったらどうなっていたかと何度も考えることがあるんだよ」

「その通りよ。だからこそ私たちに才華のことを伝えてくれたあなたには心から感謝をしているの。本当にありがとう」


 何のお礼かと思ったけどやっぱりそれだったかと俺は心の中で息を吐く。

 何度も言うが結局はああやって才華を助けることに繋がったのは全くの偶然、それこそ俺が才華の体に興味を持たなかったらこうはなっていなかった。


「あの、本当にお礼なんて良いんですよ。結局のところ、才華のことに気付けたのも偶然なんですから」


 だからこそお礼なんて必要ないんだ。

 まあそうは言っても彼らにとって俺は恩人だろうし才華にとってもそれは変わらないはず、だから必要ないとは言いつつもこのお礼の言葉を受け取らずにはいられないだろうな。


「ははっ、そうかい。才華にも聞いていたが本当に謙虚な若者なのだな」

「そうねぇ。どんなにお礼を伝えても気にするなって言って、見返りを一切求めないヒーローみたいだって才華は言ってたね」

「うん」

「……あ~」


 俺みたいなのがヒーローを名乗ったら本当の正義の味方に殺されそうだけど。

 才華の母にはまだ会ったことはなくて父親だけだが、あの最低な男を見たからこそこうして祖父母の人の好さが顕著に感じ取れる。

 もしもそんな心優しいこの二人が実は俺が催眠を使って才華だけでなく、多くの女性にちょっかいを掛けていると知ったらどう思うのか……まあ催眠について外に漏らすつもりはないんだが。


「才華、ちょっとお菓子の用意をするから手伝っておくれ」

「分かった」


 お婆さんにそう言われて才華は立ち上がった。

 離れて行った彼女の背中を見送った後、俺は少し気になっていたことをお爺さんに質問してみた。


「才華の両親についてはどうなったんですか?」

「うん? あぁ……離婚したよ」

「……そうですか」

「親権を放棄すると言っていた。あやつにとってはどこまで行っても才華という存在は邪魔だったようだ」

「……………」


 なんというか、本当にこの世に潜在する闇を垣間見た気分だ。

 きっとこの世界には才華や茉莉たちのように家族との問題を抱えている人というのは多く居ると思うし、もしかしたら今この瞬間にその苦しみに耐えられなくて自ら命を絶つ人も居るかもしれない。


「……俺はヒーローなんかじゃないです。でも……俺が彼女を助けることが出来たのだとしたらそれは嬉しいことです」

「……そうか。本当に君のような子に才華を見つけてくれて良かった」


 ヤバい、なんか最高にこそばゆい気持ちだ。

 その後才華の父親だけでなく母親についても聞いたが、そちらに関しては一切話もしてなければ会ってもいないらしい。


(父親以上に無関心か……つくづく本当に気付けて良かったよな)


 そう俺は近くに居た才華の顔を間近に見ながら考え……うん?


「どうしたの?」

「……いや」


 物凄く至近距離にいつの間にか彼女は来ていたようだ。

 俺たちのやり取りに祖父母が楽しそうに笑い、俺と才華は用意してもらったお菓子を手に彼女の部屋まで向かうのだった。


「初めて部屋に男子が来た」

「そうか? つまり俺が初めての男ってことか」

「うん。甲斐君が私の初めて」


 ジッと見つめられてそう言われてしまった。

 才華はいつも通りの無表情だが、そんなことを言われて何もしないというのは男の矜持が許さない。

 とはいえ、一旦才華と共に床に腰を下ろした。


「今日はありがとう来てくれて」

「いやいや、俺の方が役得っていうかなんていうか……」


 確かにこれは明らかに俺だけが役得というだけだ。

 さっきから色々とムズムズしているし、早速俺はスマホを取り出して才華に催眠を掛けることにした。


「催眠!」

「……………」


 いつもと同じように才華は催眠上になった。

 それじゃあいつものようにまずはその柔らかいものを堪能させてもらおうか、そう思った直後俺は才華にキスをされていた。


「っ!?」

「……ぅん……」


 キスをしてくれ、そんなことを命令する前にキスをされたことに俺は少し困惑したがよくよく思い返せばこんなのは今更だ。


「……う~ん、やっぱり疑問だけど学習してるから?」

「なにが?」

「いや、何も言う前にキスされたからさ」

「そんなの簡単だよ。甲斐君とキス、したかったから」

「……才華ぁ!!」


 そんなことを言われたら俺はもう嬉しくてどうにかなっちまうぞ!

 才華とキスを交わしながら彼女の胸に触れ、数日溜め込んだものを全て発散するかのように思う存分と彼女の体を楽しむ。


「ねえ甲斐君」

「なんだ?」


 少しだけ体勢を変え、才華の背後から両手でモミモミしていた時のことだ。

 色気のある吐息を零しながらこちらを向いた才華はこんな言葉を続けた。


「甲斐君は前に言ったよね? これからもずっと俺の為に生きろって」

「あん? あぁ言ったな。そりゃこんな極上の体をした女を手放したいって奴は居ないだろ絶対に」

「他の奴はどうでも良い。甲斐君にだけそう言ってもらえればそれで」

「安心しろ。お前とこんなことをするのは俺だけだぜ……まあ、最終的な判断は才華がするんだけどさ」


 俺は茉莉や絵夢にもこれからずっと俺に奉仕しろと伝えてはいるものの、それは結局催眠状態の彼女たちに限定されている。

 だから素の状態の彼女たちがどんな答えを出したところで俺にそれを否定する資格はないし文句を言える立場でもない……まあでも、この腕の中に居る彼女が俺以外の男とこういうことをするってのは嫌だな。


「これからずっと甲斐君の為に生きる。それはもう永遠に変わらない……だからどうか、ずっと甲斐君の傍に居させて? 茉莉と絵夢、あの二人が居ても構わないからとにかく傍に居させて? 何でもするから」

「なんでも?」

「うん。なんでも」


 全くイケナイ子だぜ才華は。

 こんなことを言われちまったら男は止まれないし、少しだけハードかなと思ってしまう要望すら言ってしまうもんだ。

 それでも何とか己をセーブしていつものように才華にしてもらおう。

 ベッドに座る俺の前に跪く才華の頭を撫でながら、俺はついこんなことを口にするのだった。


「お爺さんと話してる時に才華のことに気付けて良かったって言ったんだ」

「うん」

「本当にその通りだと思う。俺は別にヒーローを気取るわけじゃないし才華に見返りを求めるつもりもない。今はただ、才華が……君があの時より明るくなってくれたことを素直に嬉しいって思ってる」

「っ……!!」

「うおっ!?」


 俺の言葉の何かが才華を刺激したのか、それからは本当に凄い時間だった。

 そして才華の提案でいつもとは少し変わった趣向となったわけだが……何故か俺は才華に目隠しをされていた。


「……なんで目隠し?」

「うん。偶には良くない?」

「俺は別にこういう趣味はないんだが……」

「分かってる。でもね、今はこれが良いんだよ」


 何が良いのか良く分からないが、取り敢えずこの状態で才華が俺にもっと凄い奉仕をしてくれるとのことで俺はもうワクワクしっぱなしだった。


「よいしょっと……」


 何かが俺のアレに窮屈さを感じさせるモノが被せられ、本当に何をするつもりなんだと聞こうとしたらとてつもない感触が俺に襲い掛かった。


「そのまま……そのままで良いよ? 後は任せてね?」

「お、おう……」


 それから俺は才華から与えられる気持ち良さに身を委ねるのだった。

 正直なことを言えば……今の俺は自分が少しおかしいと感じており、それは何か考える力のようなものが失われているような感覚なのだ。

 ただただ才華に身を任せろ、誰かにそう言われているような気さえしてくる。


「……あぁ……最高だぜ才華」

「私も……私も最高♪」


 そう言えば見間違いか?

 目隠しをされる寸前にスマホの画面がいつもと違う光り方をしていたような……まあ後で確かめることにしよう。

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