百合の間に挟まる男は俺なら許されるぜぇ!
名前も知らぬ女子高の美人二人をターゲットにした翌日のことだ。
流石にその日の内に行動を起こすにはあまりにも時間が遅かったこともあり断念したが、次に会った時は必ず二人の体を楽しませてもらう。
「……まあ会えるかどうか分かんねえけどさ」
問題はそこだった。
昨日は偶然街中で見かけたから良かったものの、名前も分からなければどの辺に住んでいるかも当然分からないので探しようがない。
分かることといえばどこの女子高の生徒かしか分からず、ターゲットにしたとはいえいっても会えるかどうかが問題だ。
「もしかしたら茉莉たちと接するおかげでそこまで女体に興味が? いやいやまさかそんなことがあるわけないっての」
現状に満足しているからこそ、新しい刺激が欲しいとは思ってもそこまでではないということかもしれない。
まあそれでも俺の中のエロスはあの二人に狙いを定めていたので、まだまだ俺が刺激を求めていることは間違いないので必ずやってやるぜ!
「なあ甲斐、トイレいかね?」
「俺は良いや。販売機でジュース買ってくる」
晃にそう伝え俺は立ち上がった。
そのまま教室を出て向かう先は一階の自動販売機、昼休みということでそれなりに人の数は見えるが並ぶほどじゃない。
「今日の放課後どうする?」
「どっか行こうぜ」
「俺は勉強かなぁ」
「ファミレス行こうよ」
「えぇ……ちょっと高いんよねあそこ」
もう高校三年生なんだから遊んでばかりじゃなくて将来のことを考えた方が良い気もするのだが、まあそこは個人の自由なので俺は特に何も思わない。
「今日はオレンジな気分っと」
オレンジジュースを買って喉を潤していると、ちょうど我妻も飲み物を買うつもりなのか歩いてきた。
堂々と歩く姿はやはり人目を集めるらしく、こうして隠されていた美貌が露になったことで彼女を地味子と呼ぶ人間はもう居ない。
「……あ」
そんな中、俺を見つけた我妻は無表情から笑顔に変わって近づいてくる。
「我妻さん、放課後良かったら俺たちと一緒に――」
「興味ない。ごめんなさい」
おぉ……この塩対応は凄いな。
こうなると俺が彼らから嫌な目で見られるのだが精々心の中でドヤ顔をしてやるさざまあみろ。
「会えたね真崎君」
「隣のクラスだしいつでも会えるだろ」
「それはそうだけど、こうして偶然会えるのが良いの」
「確かにな」
まるで運命みたいだな! そう自信を持って言うのは流石に気持ち悪いと思ったのでどうにか自分を抑えた。
我妻もジュースを買うのかと思ったが、俺の持っているオレンジジュースをジッと見つめたまま動かない。
「……どうした?」
「美味しそう」
「美味しいな」
「……………」
「欲しい?」
「うん」
自分で買わないのかよ、そうツッコミたかったがあまりにも見つめてくるので俺は大人しく手渡した。
手渡した瞬間にこれ間接キスじゃんとちょっと思ったが、我妻をそれを気にした風もなくゴクゴクと喉に通した。
「……?」
「……ぅん……ふぅ」
ただ飲むだけではなく、口元に缶をくっ付けたままジッとする彼女に俺は首を傾げたが、すぐに空になったのを確認したのかゴミ箱へ。
思わず全部飲んじゃったと言われたものの、気にするなと俺は伝えた。
「最近どうだ?」
「本当に変わったと思う。友達も増えたし、真崎君や相坂さんも気に掛けてくれるから毎日幸せ」
「そうか、そいつは良かったよ」
何と言うか、こうして事あるごとに近況を聞くのは保護者みたいな気もする。
俺が助けたなんて大口を叩くつもりはないが、それでもこうやってあの我妻が幸せだと言ってくれる環境になったのは本当に嬉しかった。
(……しっかし、こうして我妻が傍に居るとムラムラがヤバい)
学年一……否、学校一と言っても過言ではないサイズのバストが目の前にあるとどうもムラムラしてくる。
放課後のことを考えてアプリを使いたくはないが、それでもそんな制止する心を押し流してしまいそうな魅力がそこにはあるのだ。
「……っ」
催眠状態ではない女の子の胸をジッと見るのはマズイと考え、視線を俺は逸らしたのだが我妻が手を握ってきた。
「来て」
「え? あ、あぁ……」
手を握ったまま我妻に連れてこられたのは人目のない陰だ。
生徒たちの会話が僅かに聴こえるほどの場所で、我妻は無防備を強調するように壁に寄り掛かりこう口を開いた。
「ジュースのお礼、私に何でもしていい」
「何でも!?」
「何でも」
何でもしていい、そう言われて俺が目を向けたのはやはり胸だ。
最近改めて俺は思い知ったことがあるのだが、どうも俺は女性の体の部位だと一番胸が好きらしい。
まあ今更な気はしないでもないが、それだけその夢の詰まった膨らみに俺はいつだって魅了されていた。
「……いやいや、そういうのはだなぁ!」
茉莉の時と一緒で、やはり相手に明確な意識があると躊躇してしまう。
というか茉莉も我妻もそう簡単に男に胸を触らせるなと声を大にして言いたい、俺が言ったところで説得力は欠片もないけどな!!
「むぅ……じゃあこうする」
「……え?」
我妻は俺の手を握り、そのまま自身の胸に押し当てた。
むぎゅっと沈む指に伝わる柔らかな感触、僅かに紅潮した頬の我妻に俺はしばらく見惚れていた。
何も言葉を発することが出来ず、しばらく時間が過ぎた後俺は指を離した。
「やっぱりそう……やっぱり落ち着く……ふふ……ふふふっ」
「……我妻さん?」
ボソボソっと呟いた我妻が怖かったものの、妙に機嫌が良くなった我妻と俺はすぐに別れた。
「……ふむ」
催眠アプリを通じて知り合った彼女たちについて思うのは催眠状態でなくても俺への好感度が高いような気がする、いや確実にそうなっている印象がある。
アプリの説明では無理やりに気持ちを植え付けることは出来ないので、俺が彼女たちに対して好きになれとか好意的に見ろとかそう言った命令は出来ない。
まあ催眠中は出来るかもしれないが、催眠が解ければ元に戻るので結局何も変わらないのだ。
「とはいえ悪くない気分だな。このままもっと仲良くなって催眠に頼らずにムフフな展開になったりしちゃって……最高かよ!」
それから学校が終わるまで、俺は一人気持ち悪く妄想をするのだった。
さて、そんなこんなで待ち望んだ放課後がやってきた。
俺はすぐに学校を出て街中に繰り出し、昨日彼女たちを見た場所にやってきた。
「つっても手掛かりは一切……ひゅ~♪」
手掛かりは一切ない、しかし神は俺に祝福を与えているらしい。
昨日よりも早い時間だが俺は再び見つけてしまった――仲良く二人で手を繋ぎ、アイスを食べながら歩いている美少女二人を。
「くくくっ、良いねぇ」
やっぱりあの二人は美人で好き勝手のし甲斐がありそうだ。
俺はゆっくりと背後から近づいた。
「そこのお嬢さん二人」
「っ!?」
「な、何……?」
声を掛けた瞬間、二人とも妙に肩を震わせたが俺は特に気にしなかった。
すぐに催眠アプリを起動させると二人は物を言わなくなり、俺をジッと見つめるだけの人形になった。
そのまま彼女たちを一目の付かない場所まで誘導し名前を聞いた。
「
「
綺麗な長い茶髪で鋭さを感じさせる顔立ちの方が佐々木、銀髪のセミロングで柔らかな印象を与える顔立ちの方が染谷という名前らしい。
「染谷はハーフなのか?」
「そうだよ」
どうやらハーフ女子らしい、特にどのハーフなのかなどは興味はないので俺は詳しく聞かなかった。
二人とも顔立ちが整っているだけでなく、そのスタイルも素晴らしいものを持っていた。
「なんか俺がこうやって狙う女子ってみんなスタイル良くね?」
それを無意識に狙っているのかもしれないが……まあそれは置いておいて、初めて同学年くらいのハーフ女子に出会ったということで彼女の家に行くことにした。
ちょうどいい具合に両親の帰りは遅いとのことで、今から家に行くと一時間は楽しめそうだ。
「ここがそうだよ」
「……おぉ」
流石お嬢様っぽいと思っていたが、かなり立派な門構えの家に着いた。
この分だとおそらく佐々木の方も金持ちっぽいが、彼女の方に関してはまた別の日に確かめるとしよう。
「充電はバッチリだな。よし」
充電もバッチリ、性欲もバッチリということで準備は万端だ。
染谷は日本のサブカルチャーにドハマりしているらしく、部屋の中はアニメのキャラクターが描かれたポスターであったりコスプレ衣装が壁に掛けられていた。
「……オタクだな」
俺も人のことは言えないがここまでのオタク女子は初めてだった。
こうして部屋に上がり込んだ俺の最初の命令は当然服を脱げである。
「えぇ」
「うん」
二人とも俺の命令通りに服を脱ぐと、その素晴らしい裸体が晒された。
ちょっと日に焼けている小麦色の肌をした佐々木も良いが、真っ白な肌の染谷も最高に良い……そして何より、二人の豊満なスタイルもまた素晴らしかった。
「つうかさっきから二人とも距離が近いな。もしかして付き合ってたりする?」
それはお茶目な問いかけだ。
女子高のお嬢様ということでもしかしたら、なんてことをちょっとは期待した節があったのだ。
俺の問いかけに二人は頷いた。
「付き合ってるわ」
「付き合ってる」
「……あ、はい」
一瞬思考が停止した。
まさかのリアル百合女子に俺の内心は驚き、そしてとてつもない興奮だった。
「百合に挟まる男は死すべし、しかし俺ならアリだぜ当然だろ!」
今から付き合っている美女二人の間に挟まることを想像すると元気になりすぎて困っちまうわ。
体を見る限り外傷などは特になさそうで地雷女子の心配もなし、何も気兼ねすることなくこの百合の中に入れそうだ。
「まずは味見をさせてもらうぜ二人とも」
二人が並んでいるのなら同時に味見をしなければなるまい。
俺は二人の傍に近づき、その豊満な胸にそれぞれ手を当て……そして困惑した。
「……おい? どうした?」
「っ……いやぁ」
「こわい……こわい……っ!」
催眠下にあるはずの二人なので決して俺から逃げようとはしない。
しかし……体に触れた瞬間、まるで男を拒絶するかのように彼女たちは大粒の涙を流し始めた。
その意識は俺の管理下にあるはず、それなのにその催眠状態ですら抑え込むことの出来ない恐怖のようなものを彼女たちは俺に見せつけた。
「……もしかして……宝くじ買わないといけない系?」
そう俺がボソッと呟いたのは当然だった。
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