俺の青春はこれからだぜぇ!!
我妻の件から二週間ほどが経過した。
七月に入ったことで段々と気温も高くなり暑くなってきた。
「あちぃな」
「暑いなぁ」
晃と省吾が隣で呟く。
別に我慢が出来ないというほとではないが確かに暑い、しかしその暑さを我慢してお釣りが来る程度には目の保養があった。
「良い光景だねぇ」
衣替えによって肌の露出が僅かだが増えた女子たちの姿に俺はそう漏らした。
俺たち男子もそうだが、女子も上着の下の白いシャツ姿ということで大変素晴らしい光景だ。
僅かに見える下着の線でであったり、雨に濡れたりすると肌に貼り付くついて肌色が見えたり……やっべ、俺ってかなり変態だわ。
「いやそれこそ今更か」
そもそも催眠アプリを使って相坂たちに相変わらず悪戯をしている俺の言えたことではない。
とはいえ……ちょっとだけ俺の身に変化もあった。
何故かは分からないが、今までよく見ていたエロ漫画などといったインターネット上の閲覧物に目を通さなくなったのである。
(見たくないってわけじゃないけど、見て色々と発散しようって気にならないんだよな不思議なことに)
興味がないわけでも見たくないわけでもない、何故か創作物に対してそこまでの欲求が薄れてしまった。
まさかとは思うが、俺は友人たちの会話を楽しんでいる相坂に目を向けた。
『なあ相坂、今日もキスするか?』
『うん、したい』
『それじゃあその後はいつものな?』
『任せて』
相坂とも催眠下でのやり取りは続いており、どれだけ彼女に奉仕をしてもらったとしても、逆にどれだけあの体に触れたとしても全然飽きないのだ。
もしかしたら彼女たちと触れ合うことの出来るこの現実で心が満足してしまっているからこそ、二次元の物に対しての興奮が薄れているのかもしれない。
「ところで甲斐」
「なんだ?」
ふと晃が真剣な顔になって俺に顔を近づけた。
省吾も晃の言わんとしていることが分かるのか視線を向けてきており、俺はどうしたんだと首を傾げる他ない。
「最近、相坂と我妻だけじゃなく後輩の本間とも仲が良いってのはどういうことなんだよ!」
「そうだぞ! お前は俺たちと同じ非リア充のはずだろ!? 特に今まで絡みはなかったはずなのにどうしてだよ!」
「……………」
ただの僻みだったことに俺はため息を吐いた。
確かに今名前が出た三人、俺が催眠に掛けてずっと好き勝手している女の子たちだが普通に話をしている。
相坂は言わずもがなだし我妻も目が合えば近寄って声を掛けてくる。
後輩で学年の違う本間も俺を見つけるとすぐに駆けよってきたりと……何というか今が一番男子高校生として俺は充実した日々を送っている。
「まさかお前……連絡先を交換したりとかしてんのか!?」
「どうなんだよ!!」
「うるせえ! 俺の勝手だろうがそれは!!」
ちなみにしっかりと三人の連絡先はゲット済みだ。
チラチラと話をするようになったのでもしかしたらと思い聞いてみた結果、三人とも快く連絡先を交換してくれたのだ。
(我妻に関してはちょっと様子がおかしかったけど)
そう、我妻に関してはちょっと様子が異様だった。
『真崎君の連絡先……ふふ……うふふふふ♪』
スマホを胸に抱きしめ、何とも言えない雰囲気の我妻に俺は引いていた。
まあとはいっても相手が我妻ということもあってか、俺は特に変に思うことはなく可愛い奴だなと速攻で催眠に掛けて色々としたししてもらったが。
「別に何もねえよ。つうか最近マジで色々と嫌な視線を向けられるんだから勘弁してくれ」
相坂たちと仲良く話をするようになったからか、妙に陽キャグループの男子から俺は目の敵にされていた。
相坂はかなりの美人で本間も同様、そして我妻も雰囲気が変わり長かった目元の髪を切って表情が見えるようになったことでその綺麗な顔立ちは評判だ。
「……今も見てやがるし」
先日、俺を本格的に呼び出そうとして相坂にキレられた男子二人が今も俺を睨んでいやがる。
まあどれだけ睨まれたところで俺には最強の催眠アプリがあるので一切怖くはないのだが、それでも何でもないところですら睨まれるというのは良い気分ではない。
「あいつらも全裸で街中一周させるか? でもなぁ……」
彼らは別にまだ何もしていないし、悪人というほどでもないのでイラつきを発散させるように命令するのは気が引けるのだ。
だからこそ、そんな嫌な気持ちを俺はいつも昼休みに発散しているのだ。
「お、来たな我妻」
「うん」
時間は流れて昼休み、いつものように催眠状態の我妻が俺の待つ空き教室にやってきた。
「にしても本当にこの空き教室は便利だな。マジで誰も来ねえし」
だからこそ都合の良い場所だった。
「こっちに来い我妻」
俺のすぐ目の前に歩いてきた我妻の全身をじっくりと見てみる。
先ほども言ったが衣替えをしたことで半袖とスカートから覗く健康的な肌色はグッドと言わざるを得ず、不安から解放されたことで姿勢も良くなりその大きな胸もしっかりと主張していた。
「さてと、それじゃあ今日もたっぷり楽しませてもらうぜ」
「うん。どうぞ」
俺は壁を背にして座り込むと、俺の股の間に我妻が座り込んだ。
俺の胸に背中を預けるようにしている我妻を抱きしめ、思う存分こうやって触るのが最近では俺の中のマイブームだ。
両手は我妻の豊満な胸に沈み、顔は彼女の良い香りを放つ髪の毛の匂いを嗅ぐという最高の変態プレイ……いやね、もうこうしないと満足出来ねえよ。
「っ……こうされるの好き」
「そうか? 俺も好きだぞ」
「嬉しい」
とはいえ、どうして催眠中の彼女たちとこうして会話が成立することも最近では本当に多い。
もしかして意識があるのではと俺は慌てたが、それでも意識があるのならただの知り合いである俺にこんなことをされたら嫌悪感しかないだろうし、実際に催眠が解かれた後に何をされたか覚えてはなさそうなので気にするだけ無駄だ。
「家ではどうだ?」
「お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも良くしてくれてる。父とはもう一切連絡は取り合ってないよ。母も同じ」
父と母と連絡を取り合っていない異常な現状が最も良い環境というのも中々に悲しい現実ではあるのだが、今の我妻には絶望した様子は一切見られず、それどころか新しい希望に触れられたようにイキイキとしているような気もする。
「我妻がそんな風に立ち直れたのなら嬉しいぜ。俺も色々と頑張った甲斐があったってもんだ……甲斐だけにな」
「……………」
「そこは笑えよな!!」
「あっ♪」
恥ずかしさと理不尽な怒りをぶつけるように、我妻に添えていた指に力を込めてキュッと抓った。
すると我妻の体は分かりやすく震え、色っぽい声を漏らした。
その後、俺はいつものように我妻に奉仕の指示を出した。
「どう? 上手くやれてる?」
「最高だ」
正に天にも昇るとはこのことだ。
催眠状態とはいっても経験値は累積されるのか、回数をこなすごとに段々と上達していく様はやはり興奮する。
そんな中、俺は我妻の頭を撫でながらこう告げた。
「今のお前に言っても無駄なのは百も承知だが、本当にこれから先滅多なことは考えるんじゃないぞ? 俺はお前をこうして必要としているし、何ならこれ以上のことだってしたいと思ってるほどだ……流石にやれんけど」
本番も是非経験したいものだが、流石にそれは彼女たちに悪いと思っているのでするつもりはない。
ここまでやらせているのなら今更だと思われてもおかしくないが、やっぱり引くべき線引きというのは大事なのだ。
「……むぅ」
「おぉ!?」
突然の強い刺激に俺は驚いて声を上げてしまった。
その後、すぐに衣服を整えて俺は我妻と別れて教室に戻り催眠を解いた。
「……ふぅ」
スッキリ爽快、これで午後の授業も集中して取り組めそうだ。
我妻のおかげで賢者モードになっていた俺に死角なし、先生に何度か指名されたが全ての問題を解いたことに自分でも驚くほど……やはり賢者タイムは強すぎた。
「じゃあな晃、省吾も」
「おうよ!」
「またな!」
友人たちに別れを告げ、俺はちょっと買い物がしたかったので街に繰り出した。
本屋に寄ったり家電量販店に寄ったりしてちょくちょく欲しいものを買い、買い物袋を片手に満足して帰ろうとしたその時だった。
「……うん?」
俺の目の前に見覚えのある二人が居た。
「なあ、俺も反省してるんだよ……頼むって茉莉」
「話しかけないで。アンタの顔なんか見たくもないんだから」
相坂と奴が……幼馴染のクソ野郎が話をしていた。
あのようなことがあったので相坂が毛嫌いしているのはもちろんだが、全裸事件の後にああやって元カノに絡めるのもある意味凄いと思う。
「ったく、懲りねえ野郎……あ」
俺はスマホを片手に近寄ろうとしたのだが、まさかの電池切れという事実に気付いてしまった。
「……仕方ねえか」
しかし、電池切れだからといって無視するのも気が引けた。
一方的にだが相坂に好き勝手している手前、ある意味俺の初めての相手でもあるのだから助けないと罰が当たりそうだ。
「何してんだよ全裸駆け回り小僧」
煽り全開? うるせえ、イケメンには厳しいぞ俺は。
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