二人同時とか最高じゃねえか!!

「……ふぅ、話の分かる老夫婦で助かったぜ」


 我妻の父親との邂逅を終えた翌日、俺は早速彼女の祖父母の元に訪れた。

 れっきとした父親の映像を持ってきたとしても果たして信じてくれるかどうか怪しい部分ではあったが、思いの外理解のある老夫婦だった。


『すぐにでも動くとしよう。ありがとう』


 一応催眠状態にして本心を聞き出したが、彼らは嘘を吐いておらず本当に我妻を助けるつもりで動くようだ。

 一応彼女が今のところは外泊していることは伝えたので、父親や母親に関しては一先ず任せても良いだろう。


「あの様子じゃきっと引き取るだろうな。高校生になってからずっとあの調子だと分かったのならどれだけ更生したとしてもおそらく……無理だな」


 娘に対して良い体をしているから犯してやっても良いかもしれない、そこまで口にしたことも全て映像として見せたため、絶対に彼の元に我妻は戻らないはずだ。

 そうなると引っ越しなど諸々ありそうだが、幸いに我妻の祖父母が住んでいる家が同じ街の中にあったので、我妻が急激な環境の変化に悩むことも少なそうだ。


「……少しばかり近くに行ってみるか」


 相坂の連絡先は知らないものの、彼女の家には行ったことがあるので傍まで行ってみることにした。

 それとなく家の前を素通りしようとした時、何の偶然か玄関が開いてちょうど相坂と我妻の二人が出てくる瞬間だった。


「……あ! 真崎君!」

「……お、おう」


 目を丸くする我妻を置いて相坂は俺の傍に駆け寄った。

 制服とは違う私服姿、両肩を露出するタイプの服で僅かながら谷間を強調しており流石ギャルっぽいなと思わせる出で立ちだ。


「こ、ここは相坂の家だったのかー」


 どんだけわざとらしいんだよと自分にツッコミを入れたい気分だ。

 相坂は別に俺のことを不審に思ってはいないようで、俺の言葉にそうだよと笑って頷いてくれた。


「我妻もおっす。相坂の家に泊まったんだな?」

「……………」


 俺が我妻に対して相坂に頼んだことは伝わっていないはず、なので俺としてもこんな風に我妻に声を掛けるしかない。

 何故か彼女はボーっとしたように俺を見つめるだけで言葉を返してこないので、まあ意識のある状態だと何も知らない俺に対してはこんな反応かって感じだ。


(……しっかし学生にしては素晴らしすぎるスタイルの女が二人、今ここで催眠アプリを使えば二人同時に……ぐふふ)


 こうして二人を前にすると邪な気持ちが溢れて止まらない。

 ここで欲望の赴くままにアプリを起動して二人の体を思う存分楽しむのもありなのだが、生憎ともうすぐ昼なので家に帰らないといけないのだ。


「……相坂、ちょっと来てくれ」

「うん」


 相坂に手招きすると彼女は更に近づいてきた。

 仄かに香る甘い匂いにやっぱり良いなぁと思いつつ、俺は事の経過を相坂に伝えるのだった。


「一応我妻の祖父母には伝えた。すぐに動いてくれるみたいだから後はあの人たちに任せても良いと思う」

「本当に? 良かったぁ」


 まだ完全な解決とは言えないが、それでも物事が良い方向に動きそうだということで相坂も安心したようだ。

 そもそも相坂にとって我妻の問題は一切関係がない、それでもこうして俺に協力してくれたしもしかしたら一晩でそれなりに仲良くなったのかもしれない。


「実は私たち、これからちょっと買い物にでも行こうと思ってたんだよね。でもこうして真崎君に会えたわけだし予定変更しようかな」

「どういうこと?」

「えへへ~♪」


 ガシッと手首を相坂に掴まれてしまった。

 ポカンとする俺に向けて相坂はこう提案をしてくるのだった。


「せっかくだし上がってよ。ジュースとかお菓子用意するから」

ぜ俺は。本当に良いのか?」

「どうぞどうぞ。才華も良いよね?」

「うん」


 よし、言質は取ったぞ二人とも。

 俺は美味しいものには本当に目がないんだ……つまり、お前たちのその美味しそうな体を舐めまわしたりしても構わんのだろう?

 相坂の厚意を踏み躙る最低の所業、惜しむらくはやっぱり昼までに帰らないといけないのでそこまでの時間が取れないということだ。


「お邪魔しま~す」

「お一人様入りま~す♪」

「……………」


 相坂めっちゃノリが良いなやっぱり。


「私は用意してくるから才華は真崎君を部屋に連れてって」

「うん、こっち」

「おう」


 まあどこに相坂の部屋があるかなんて分かってはいるのだがここは大人しく従った方が良い。

 さっきも言ったようにお菓子とジュースを用意しに行った相坂を置いて、俺と我妻は二人で部屋で待つことになった。


「……………」


 コミュ力おばけと言われている相坂に比べ、やはり我妻のコミュ力は低いので当然会話が弾むことはない。

 俺としては特に彼女と話すことに興味が……ないわけではない、ただ興味があるのはその豊かなお胸様である。


「……ふむ」


 学校帰りにそのまま我妻はここに来たと思うので、今着ている彼女の白のセーターはおそらく相坂の物だろう。

 ニットの質感は柔らかなイメージがあるが、それも相まって大きな胸が強調されているのも中々にグッドな光景だ。


(……良いねぇ)


 心の中の俺は大変口元がユルユルで鼻の下を伸ばしているはずだ。

 もしもそんな顔を我妻に見られたら一生怯えられて会話は二度と成立しないはず、これは気を付けないといけないな。


「相坂の家に泊まったの楽しかったか?」

「っ……うん。楽しかった」

「そうか」


 やっぱり会話は続かない、それでも楽しかったと口にした我妻は笑っていたので本当に相坂に任せて正解だったと思う。

 今はまだ祖父母から何も連絡は来てないだろうから父親に感じている不安というのはあるだろうが、すぐにそんな不安から解放されるだろうから安心しろと我妻。


「真崎君は相坂さんと仲が良いの?」

「あん? 仲が良い……どうなんだろうな」

「……どういうこと?」

「最近話すようになったくらいだしなぁ。なんでかは良く分からん」


 これでもしも催眠状態のことを覚えていて嫌悪感を抱かれているというのならまだ話は分かるのだが……本当に相坂が笑顔で接してくる理由が分からない。

 まあ嫌々そうな顔をされたとしても催眠状態にして美味しく悪戯するんだけどな!


「なあ我妻」

「なに?」

「……色々と頑張れよ」

「あ……うん」


 俺がどういうことをして我妻の為に動いたのか、別にそれを俺は伝えるつもりはないし恩を売るつもりもない。

 この間もそうだしこれから好き勝手させてもらう対価として彼女を助けようと思っただけに過ぎないのだから。


「お待たせ、はい持ってきたよ」

「サンキュー」


 相坂がお菓子と飲み物を持って戻ってきた。

 チョコのクッキーを頬張る中、相坂と我妻からそれぞれジッと見つめられるこの空気は何だろうか。


「えへへ♪」

「……ふふ」


 笑顔の可愛い相坂とぎこちない笑みを浮かべる我妻……う~んくすぐったい、とはいえ何とか気にすることなくお菓子を食べ終えた。

 そして、お楽しみの時間がやってきた。

 俺はスマホを取り出して催眠アプリを起動した。


「……よし、初の試みだけどちゃんと二人とも掛かったな」


 しっかりと催眠は二人に機能したようだ。


「二人とも、俺の隣に来い」

「うん」

「分かった」


 二人は素直に俺の言葉に従い左に相坂、右に我妻が座った。

 俺は思いっきり両手を広げて二人を抱き寄せるようにし、二人が持つ豊満な胸に思いっきり手を当てた。


「こ、これは……」


 同時に二人の女性を抱きかかえるこの構図、正にハーレムを体現した王様のような光景ではないかと俺はテンションマックスだ。

 二人の柔らかさと良い香りに包まれ、もうこのままずっとこうして居たいとさえ思わせるほどの素晴らしい空間だ。


「本間が居たら正面から抱き着かせると完璧だな」


 正に美少女サンドイッチ、いつの日か必ず三人で実現させてやるぜ。


「我妻、キスするぞ」

「うん」


 一度キスをしたからか最初ほどの緊張はない。

 俺の胸に手を添えるようにして啄むようにキスを繰り返す我妻が本当に愛らしく、そしてもっともっとお触りしたくなってくる。


「……………」


 そうしてキスをしていると相坂の方から強烈な視線を感じた。

 キスを止めた俺をジッと見つめる彼女は微動だにしないが、その視線は俺の口元に固定されていた。


「えっと……相坂もキスするか」

「する」


 サッと顔が近づき俺と相坂はキスを交わした。

 俺と相坂がキスをしている最中、空いた我妻はどうしてか俺の首元に顔を埋めるようにしてペロペロと舐めてくる。


(……なんだこれ……良く分からんけどクセになる!!)


 そこからはもう夢のような時間だった。

 我慢できずに二人に奉仕を命令し、スッキリした段階でふぅっと息を吐いた。


「いやぁ最高だったぜ二人とも。マジで良かったわ」


 ポンポンと二人の頭を撫で、不審に思われない程度に衣服の乱れを直してから催眠を解こうとしたのだが、俺は少し我妻に言いたいことがあったので手を止めた。

 俺は我妻に視線を向け、こう彼女に言うのだった。


「我妻、たぶん何とかなったと思うから安心してくれ。一応お前の祖父母のことは信用してるけど、もし何かあるようだったらまた助けてやる。だから妙な気は起こすんじゃない、これからも俺にこうやって奉仕しろ」

「分かった。真崎君の為に私は生きる……それが私の新しい生きる意味」


 これが催眠状態でなかったら相思相愛の素晴らしい言葉だが、ちょっと愛が重すぎると思わないでもない……でも全然良い、むしろ大好物だぜ。

 その後、俺は妙にフワフワした様子の二人に別れを告げて家を出た。


「良いことをすると気分が良いねぇ。催眠アプリ最高!」


 先ほどまで味わった二人の体を思い起こしながら、俺は再びそんな最低なことを考えながら帰宅した。

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