いつも以上にイキってるぜぇ!
「……………」
「……………」
催眠アプリを手に入れて目を付けた女性は悉く何かしらを抱えていることに俺はため息を吐いた。
相坂に関してはリストカット、本間はドМ体質にストーカー被害、そして目の前の我妻は父親から暴力を振るわれている。
「性暴力は?」
「そっちはまだ大丈夫」
「まだ……か」
我妻の言い方だともしかしたら近いうちに襲われる可能性もありそうだ。
まあ確かにこんなにスタイルが良い娘が居たのならば、性的に襲い掛かってもおかしくはないとさえ思えてしまう。
「思った通り、綺麗な顔してんじゃんか」
前髪を上げた我妻は綺麗な顔をしていた。
ただ覇気のない表情が全てを台無しにしているほどであり、相坂と同じようなものだが彼女よりも表情の暗さは酷い。
「いつからだ?」
「……暴力は高校生になってから振るわれてた」
「ずっと耐えていたのか?」
「うん。頼れる人も居ないから」
「……………」
まただ……またこの感覚だ。
相坂の時にも感じたが、俺が家族や友人たちと楽しく過ごしている中当たり前のように辛い人生を歩いている人たちが居る。
子供にとって家族ってのは一番頼れて身近な存在なのに、そんな存在から暴力を振るわれるなんてあまりにも辛いだろう。
「……死にたいとか思ってるのか?」
恐る恐るの質問だった。
俺の問いかけに我妻は少し黙り込んだが、コクンと頷いた。
「誰も頼れない、助けてくれない、なら私に生きる価値って何なのかなって思ってるよ。いっそのこと、消えてしまえば楽になれる」
我妻は下を向いていた。
それこそ覚悟が決まっているとまでは言わないが、何かもう一押しがあれば彼女は本当にこの世から旅立ってしまいそうな儚さを醸し出している。
「……ただ」
「うん?」
「父の祖父母は良くしてくれるの。でも同時に父のことを彼らは大事にしているから暴力を振るっているなんて知ったらきっと悲しむ。だから迷惑は掛けたくない」
「……そうかよ」
ジレンマってやつか。
誰も頼れないと言った割にはちゃんと頼れる相手は居る、しかし頼ってしまえば同時に悲しませてしまうからと一歩が踏み出せないわけだ。
まあでもそれだけ大事にされているのなら傍に置いておけないと思って我妻を引き取る可能性もありそうだが……。
「ったく、ただの学生にこういう問題は難しすぎんだろ」
俺はガシガシと頭を掻いた。
相坂の時も本間の時も結局は催眠に頼っての力技で、その後のことは特に考えていないしどうとでもなれと思っている。
「……最近は母もあまり家に帰ってこない。父は遅いけど今日は――」
そこまで我妻が言ったところで彼女のスマホが震えた。
ジッと見つめてくる彼女に電話に出ろと命令すると、彼女はスマホを手に取った。
「……うん……うん。分かった」
「なんだって?」
「今日は帰らないだって」
「ほう」
帰らない、本来なら寂しいはずなのにどこか安心したような声になったのは俺の気のせいではないはずだ。
そんな風に帰ってこないことで安心出来るのなら祖父母に頼ればいいのになと俺は思う。
「……ま、当事者じゃない俺だからこそ簡単に言えるってことだ。正直気の毒には思うけど我妻の気持ちを完全に理解は出来ないしな」
幸せな人間と不幸せな人間、その間の感覚の隔たりは本当に大きなものだろう。
とはいえ、我妻の不幸に関してはしばらく忘れることにしようか――俺は何のためにここに来たのか、それを思い出せよ甲斐!
「我妻、こっちに来い」
「うん」
俺のすぐ目の前に我妻は腰を下ろした。
座った瞬間にたぷんと揺れた胸はやはり凄まじく、Hカップと言っていたがそのサイズに違わぬ圧倒的な戦闘力だ。
俺はごくりと生唾を飲み込み腕を伸ばす。
「……おぉ、やっぱりすげえ」
生で触れる感触とはやはり素晴らしい、この柔らかさと温もりだけでなくすべすべな肌の気持ち良さと言ったら何にも代えがたい。
俺は先ほどまで聞いていた話の内容を完全に忘れ、グラビアアイドル顔負けの巨乳の虜になりずっと夢中で揉みしだくのだった。
「……ふぅ」
「……………」
手で揉むだけでは飽き足らず、顔を埋めたりして思う存分楽しんだ。
そしてもうこのようなことを命令するのにも慣れてしまい、俺はその場で横になってこう我妻に告げた。
「今から俺が言った通りにするんだ」
「うん」
数十分後、俺は大変満足していた。
相坂や本間とはまた違った良さというのがあり、クラスで見向きもされない我妻が俺に奉仕をしている姿は最高に心に刺さった。
「いやぁやっぱりこうして女の子に奉仕されるのは最高だな。なあ我妻、もうちょい甘えさせてもらうわ」
清潔に保たれているベッドの上で俺は我妻を思いっきり抱きしめている。
思う存分彼女を堪能するように体をこれでもかとくっ付けているので、とてつもなく柔らかなそれが俺の胸元で歪んでいる光景は一度去ったはずの興奮を呼び戻すほどだった。
「……あ~」
やばい、これは正に麻薬だ。
あまりにも気持ち良すぎて離れたくないほど……相坂や本間の時も同じことを思うのだが、その中でも我妻は一段抜けているかもしれない。
「……なあ我妻」
「なに?」
だからこそ、死んでしまおうとするのは勿体ないぜ我妻。
さっきまでは早く我妻の体を味わいたくて頭は煩悩に塗れていたが、今の俺は賢者タイムということでとてもクリアな思考をしている。
まあすぐにぶり返してきそうなほどに我妻の体は魅力的なのだが、それでも言っておかないといけないことがある。
「生きる価値がないなんてさっき言ったな?」
「うん」
「価値がないわけねえだろ。こんなにも俺を喜ばしてくれたんだぞ? お前の価値は素晴らしいものがある」
「っ……」
いや、言っていること最悪だなマジで。
つまりお前の体は凄く良かったから価値があると俺は言っているのである。
「クッソ外道な言葉だけど、マジでお前の体は良い。だから価値がないなんて言うんじゃねえよ。そんなに価値とか見出したければ俺の為に生きろや」
「……真崎君の為に?」
「おう。俺がお前を必要だと思ってやる」
「……私を必要……私を……」
催眠状態の我妻はしばらくブツブツと呟いていた。
なんというか、相坂や本間のこともそうだしこうして我妻を好き勝手したことでかなりイキってると思ってるがそれは自分でもちゃんと自覚している。
「この催眠が解けた時、我妻は何も覚えちゃいないだろうけどそれでも言っとくわ。まあだから取り敢えず滅多なことは考えるんじゃねえ、俺がどこまでやれるか分からんがどうにかしてやるからよ」
そう言って俺は我妻を胸に抱いて頭を撫でた。
長い髪の毛だが毛先までしっかりと手入れされているのかサラサラで、こうして撫でるために触っているが本当に良い手触りをしていた。
「……あん?」
「っ……!」
胸の辺りが何か温かいなと思ったら我妻は涙を流していた。
俺は少しばかり驚いたが、あくまで催眠状態の彼女の心に俺の言葉が響いたという考えで良さそうだ。
相坂の時も微妙に安心した風な様子は垣間見えていたので間違いないはずだ。
「泣くんじゃねえよ。催眠が解けた時になんで目が赤いんだって驚くぞ?」
「……………」
我妻は何も言わないが、俺は今泣いている彼女の様子にちょっとときめいた。
相坂にも本間にも言ったことがないし命令したことはなかったが、俺はついつい興が乗ったのかこんな提案をした。
「我妻、キスしようぜ」
「うん」
その返事はとても速かった。
俺は我妻に顔を近づけ、彼女の唇に吸い付いた。
(……すげえ。これがキスかよ)
俺にとって初めてのキス、彼女にとっては知らないがもしファーストキスなら許してくれと軽く心で謝っておく。
「……心が温かい、不思議」
「そうかよ。そいつは良かった」
一瞬、本当に一瞬だが我妻が笑った気がした。
その後、俺はもう一度我妻に奉仕してもらいのんびりしていたが……ハッとスマホのことを思い出して画面を見た。
「やっべ、後十パーセントしかねえ!」
危なかった、もう少し夢中になっていたら完全にマズいことになっていた。
「そろそろ帰るわ。えっと上着は……?」
「……帰るの?」
ちょこんと我妻が俺の服の裾を握っていた。
何だよ可愛いじゃねえかよと俺は笑い、その手を優しく離した。
「ま、またお前のことを好き勝手させてもらうから安心しろや。それとさっき言ったことは嘘じゃねえ。どういう形になるかは分からんが、取り敢えず今より環境は良くなると思うぜ?」
そう言葉を残して俺は我妻の家から外に出た。
家を出た段階で催眠を解除し、俺はボソッと呟いた。
「……三人合わせて好き勝手してえなぁ」
いやね、誰だって複数プレイは想像するよな男だもの。
「さてと、今日は無理だが頑張るとするか」
しっかし、やることやった後にスッキリした状態だと色々と言いたいこととか伝えたいことがポンポン出てくるんだよな……賢者タイムがあまりにも強すぎるわ。
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