やっぱりエッチじゃねえかよ最高だぜ
本間に付き纏っていたストーカーを撃退してから一週間ほどが経過した。
当事者である本間だからこそ警察から色々と聞かれたようだし、同時に色々と聞いたことで分かったことだがあの男は俺が命令した通りに自首したらしい。
『その……どこか様子がおかしかったらしいですが受け答えはハッキリしていたらしいです。しかし時間が経ったら容疑を否認し始めたりして……警察の人も不気味なものを感じたようです」
あの事があってからも俺は本間との付き合いを続けていた。
まあ一方的に催眠を掛けて呼び出して好き勝手するというだけの関係だが、その時に相坂同様に本間から近況は色々と聞いているのだ。
『先輩、おはようございます』
しかし一つだけ予想外なことがあった。
それは彼女が催眠状態でなくても俺を見つけたら話しかけてくるようになったことである。
「……まあある意味恩人みたいなもんなのか」
一人に人間に催眠を掛けている状態で別の人間に掛けようとすると、元々催眠状態にあった人間が元に戻るというのは見落としていた部分で、まさか彼女が正気を取り戻して警察署まで着いてくるとは思わなかった。
本間の中では俺はストーカーをどんな手を使ったにせよ撃退した先輩という位置付けらしく、会うたびにお礼がしたいと言われてしまっていた。
「むぅ、女の子とお近づきになれる絶好のチャンスなんだけど……マジでお礼とか要らねえんだよなぁ」
そもそも俺はこの催眠の力がなければ女の子に触れることは出来ない、もしも正気の相坂や本間に触れてみろよ……想像するだけで怖いったらない。
「何ブツブツ言ってんだよ」
「本当に最近それ多いぞ?」
晃と省吾の言葉に俺はうるさいと返事した。
催眠アプリは確かに万能ではあるが、だからこそ欠点というか痒い所に手が届かない部分があるのも確かだ。
こいつは確かに凄まじい力だけど、本間の時みたいにもしかしたらを考えておかないといけない。
「充電マックスは絶対だな」
仮にもし女の子たちに悪戯をしている最中で催眠が切れたらどうなるんだろうか。
『何、してんの?』
『何してるんですか先輩……』
想像の中の相坂と本間はそれはもう俺を殺したくてたまらない目をしていた。
殺されても仕方ないことをしているわけだが、やっぱりそうならないためにもちゃんと気を付けないといけないなこれは。
「姉ちゃんや家族に心配は掛けたくねえし」
どの口が言ってるんだって話だけどな。
それからいつも通りに授業が始まり、教室の中は真面目に授業を受けている者しか居ないのでとにかく静かだ。
もちろん俺も騒いでいるわけではなくしっかりと黒板に書かれたものをノートに写している……のだが、俺の脳裏は次のターゲットのことでいっぱいだった。
「我妻才華……くくくっ」
相坂、本間に続くのは隣のクラスに在籍する地味子ちゃんと呼ばれている女の子である。
確かに周りに言われているように地味なのは否定しないし、コミュ障なのか周りと接点を持たない暗さもどうかとは思うが俺は知っている。
「ああいう子に限ってすっげえエロいんだ。古事記にもそう書いてある」
純粋なラブコメであったり、或いは多くのジャンルのエロ漫画でも地味な女の子が実はかなりエッチだというのは少年なら誰もが見たことのある分野だろう。
必ずしもそうではないしこの世界は現実だが、俺はそう信じているぞ我妻!!
「何をブツブツ言ってるんですか真崎君? この問題、解いてください」
「任せてください」
もちろん、しっかりと問題は解けた。
それから俺は放課後がやってくるのが待ち遠しかったのだが、逸る気持ちを抑えるようにして必死に我慢していた。
そしてようやく――。
「よし、それじゃあみんな気を付けて帰るように。日直」
「起立、礼」
俺はすぐに荷物を纏め、教室を出ようとしたところで呼び止められた。
「おい、待てよ真崎」
「ああん?」
「っ……」
声を掛けてきたのは以前になんで俺を誘うんだと苦言を呈したクラスメイトだ。
どうせ最近相坂と話をするから気に入らないのだと思われるが、俺にはお前なんかに時間を掛けている暇はない。
エロに向ける想いがあまりにも強すぎたのか、普段では出さないような低い声が出てしまい、何なら睨みつけてもしまったらしい。
「……なんでもねえ」
「そうかよ。じゃあな」
背後で机を蹴る音が聞こえたが俺はすぐに我妻の元に向かった。
まあ隣のクラスなのでそこまで急ぐ必要もないのだが、それでもこの探求心は今日のうちに発散しなければならないと心が訴えていたのだ。
「……おっと」
「っ……ごめんなさい」
正に神の導きか、ちょうど教室から出ようとした我妻とぶつかった。
彼女は怯えるようにしながらも謝罪を口にし、そのまま隣を素通りするように歩いて行こうとしたところで俺は催眠アプリを起動させた。
「待て」
「……はい」
う~ん、この悪役的な待てにも慣れてきた感があるぞ。
隣のクラスといえど体育などでしか接点はないので、女子を中心に不思議そうに見られているが気にすることではない。
俺はそのまま催眠状態の我妻と共に学校を出てそのまま家に向かう……っとその前に少々味見をさせてもらうぜ。
「我妻の家はこっちなのか?」
「そう」
「なら近くに公園があったか。そこに寄ろうぜ」
「分かった」
……喋り方に関しては淡々としてんだな我妻って。
催眠状態だからこそってのもあるけど、それにしては随分と声に覇気がないというか意志が感じられないというか。
「……まあ良いか」
相坂みたいにリストカットしてるとか、本間みたいに超ドМとかそんな地雷を抱えた女とそう何度も出会ってたまるかっての。
「よし、ここに座ろうぜ」
「うん」
公園の中に設置されているベンチに俺たちは座った。
遠くで幼い子供たちがサッカーをして遊んでいる光景を眺めながら、俺はジッとこちらを見つめてくる我妻に目を向ける。
「触るぞ」
「うん」
俺は遠慮なく、我妻に胸に手を伸ばした……そして。
「……え?」
俺は凄まじいほどにビックリした。
その理由は単純で、この手の平に伝わる柔らかさも素晴らしいのだが、それ以上にその大きさに驚いたのである。
いつも猫背の姿しか見ていなかったので気付かなかったのだが、どうも彼女は相坂以上に素晴らしいものを持っているようだ。
「何カップ……?」
「H」
「……そりゃHだわ」
やっぱりこの地味子ちゃんと呼ばれている我妻はエッチな体をしていた。
あまりの衝撃に言葉を失いかけたが、我妻が催眠状態なのを良いことにその胸元に顔を埋めた。
相坂や本間ともまた違った素晴らしい感触と僅かな香水の香り、いやぁどうして女の子ってこんなに良い香りがするんだろうか。
「こりゃたまんねえぜ。早くお前の家に行くぞ我妻」
「うん。分かった」
俺はもう内心バクバクギンギン侍だ。
我妻に連れられて彼女に家に向かい、玄関を潜った段階で俺は一瞬……本当に一瞬だが少しばかり寂し気な雰囲気を感じた。
「親御さんは?」
「っ……まだ帰らないと思う」
「そうかそうか」
生活感は当然あるのだが、やっぱりどこか寂しい。
そのまま我妻の部屋に向かったのだが……あまりにも綺麗すぎて、どこか味気ないなという印象を俺に持たせる。
まあでもこの地味な雰囲気も解釈一致みたいな部分はあった。
「さてと、それじゃあ早速服を脱いでもらうぜ」
「分かった」
胸元のリボンを外し、しゅるしゅると音を立ててシャツの状態になった。
後彼女を守るのはシャツとその下のブラのみ、ここまで来るとその大きさが余計に際立ってくる。
「ほらほら、はよ脱げ脱げ」
「うん」
我妻は俺の言葉に従うようにシャツを脱いで……そこで俺は唖然とした。
「……なあ我妻」
「なに?」
「興奮していて色々と見落としていたけどさ……そのお腹もそうだし、腕とか、後太ももに出来ている痣はなんだ?」
既に青くなっている無数の痕が我妻の体には刻まれていた。
何かに強く体をぶつけた時などに良く出来るその痣……俺はまさかと我妻の言葉を待った。
「……お父さんに殴られてるの。お母さんも助けてくれない」
「……………」
なるほど、今度はどうやら虐待で暴力を振るわれているらしい。
「……すまん、ちょっとタイム」
「??」
今ここに俺と我妻以外居ないからこそ、俺は声を大にして叫んだ。
「なんで俺が目を付けた女の子は何か抱えているんだああああああああ!!」
この催眠アプリ、もしかして逆に俺を操ってないか?
こう何かしらある女の子に出会うように俺を操ってない? 気のせい? なあちょっと怖いんだけどさぁ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます