第25話 君の想い、私の想い、貴方の想い

花苗と萌。

そして俺達は.....一心同体な感じだった。

まあ簡単に言えばそうだな。


本当に一心同体。

つまり何というか切っても切り離せない感じだ。

その筈なのだが。


何故か知らないが俺は花苗に対して。

特別な感情を抱いている気がする。

その特別な感情というのは.....つまりだが。

特別に扱いたい。

そんな感情なのだが.....。


「どったの?隆っち」


「.....ふあ!?い、いや。何でもない」


「???.....変な隆っち」


花苗はニコニコしながらはにかんでいる。

俺はその姿を見ながら心臓をバクバクさせる。

そしてお家デートがスタートした.....のだが。

上手くいく筈もなかった。

手を繋いでソファに座って映画を見る。


「でもこれ恥ずかしい.....ね。アハハ」


「.....そ、そうだな。俺も恥ずかしいかもしれない」


「.....そうなんだ。ドキドキする?」


「そうだな.....」


俺は内緒のデートにあまりにも赤面せざるを得なかった。

全く.....困った事をしてくれたものだな、と思う。

だけどこんな嬉しい気持ち.....何だかおかしい。

何故、花苗にこんな気持ちが浮かぶ。

おかしいだろ絶対に。


「.....花苗」


「.....何?楽しいねこのアニメ。アハハ」


「.....いや。真剣な話だ」


「.....え?」


花苗は笑うのを止める。

それから俺を目を丸くして見てくる。

花苗.....。

そうか.....俺は。

そうだったんだ.....な。


「花苗。真剣な話だが聞いてくれるか」


「.....え?.....う、うん」


「.....俺はどうもお前が好.....」


「.....」


「.....!?」


花苗は涙を浮かべていた。

そしてポロポロと涙を流す。

それって本当に?私で良いの?、と聞く様な感じで真珠の様な涙を。

俺はその証としてキスをした。

何というか俺からのキスは初めてだろう。


「.....私は年下だよ」


「.....関係無い」


「.....良いの。本当に。私で。.....良いのかなぁ」


「.....散った俺の初恋の話はしたな?.....俺にとってその初恋の側で常に支えてくれていたのがお前だったんだ。いつしかお前に惹かれていた。お前が.....好きだ。花苗」


「.....」


大粒の涙を流しながら。

号泣し始めた花苗。

そして、有難う、と言ってくる。

俺はその姿に、俺の方こそ有難うな、と涙を浮かべる。

それからそのままお互いに抱きしめ合った。


「.....萌ちゃんに.....報告しないと.....」


「.....そうだな.....」


「でも花火大会の前で良いのかなこれって」


「.....そうだな。.....でも花火大会の日にまた改めて告白する。お前に」


「.....」


花苗は涙を拭った。

それから俺の胸に縋ってからまた泣き始める。

そして、ゴメン。涙が止まらない、と言い始める。

俺はその姿に、そうだな、と言い聞かせる。

そうしてから肩に触れる。


「.....花苗。取り敢えず萌にメッセージを飛ばそう」


と思った時。

いきなり俺のスマホに電話が掛かってきた。

それは.....萌だ。

俺は!と思いながら直ぐに電話に出る。


すると萌が、もしもし、と明るく言ってきた。

しかし鼻声である。

つまり.....これは。

俺は複雑な顔をする。


『.....多分ね。.....花苗ちゃんがそっちに行ってない?』


「.....そうだな」


『.....好きになった?』


「.....」


『.....そっか。.....おめでとう』


俺は涙を浮かべた。

そしてその言葉を受けながら涙を流す。

大切な人の祝福か。

俺は考えながら.....涙を拭った。


「.....萌。本当に有難うな。今の今も」


『気にしない。私は言ったよね。.....例えば私が選ばれなくても大丈夫って』


「お前が。そして花苗が居たからこそ。.....世界が成り立ったんだ」


『.....そうだね。.....きっとそうだと思う。.....だからおめでとうって言いたいかも』


「.....萌。何とも言えないけど.....お前も大切だから」


『.....うん。君の気持ちは分かってる。十分にね。愛してるのも変わらない』


俺は涙を流した。

それから俺は萌と暫く会話してから。

そのまま電話を切る。


そして話し合った。

この先の事を花苗と、だ。

花火大会に向けての計画を構築していった。

花苗はしっかり協力してくれて。

世界を積み重ねていった。

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