2、それは大切な時間として

俺の決意

第21話 大切な決断

花火大会がもう直ぐ始まるが。

俺は2人に、赤点取ったら駄目、と言い聞かせている。

しかし結果は物凄い事になった。


何がどうなったのかと言えば.....2人は赤点を回避した。

愛のお陰か何なのか。

そう考えながらまた時間が経過した。

花火大会の前日。


「やったね。これで花火大会に行っても良いよね」


「.....そうだな。.....まあそうだな.....お前ら凄いな。平均で40も取るなんて」


「愛の力だね」


「そうだな」


俺達はそんな会話をしながら屋上に居た

思ったけどココが定位置になっているな俺達の。

思いつつ俺は苦笑しながらも空を見上げる。

佳奈ちゃんも見ているんじゃないかな、と言われた。


「.....何を?俺達をか?」


「うん。頑張り様だよ」


「そだねぇ」


「.....かもしれないな。はは」


そんな会話をしながら居ると。

花火大会で何しようか、と話が弾んだ。

俺は、そうだな、と言いながら顎に手を添える。

それから考えてみる。

チョコバナナとか?のイメージがあるが。


「リンゴ飴食べたい」


「それは確かにな。リンゴ飴食いたいよな」


「私はチョコバナナ食べたい。金魚掬いもしたい」


「お、おう。何だか色々だな」


「.....それから.....」


とそこまで言った途端。

屋上のドアが開いた。

それから、あ。ここに居た、と誰かが入って来る。

それは.....栗毛色のボブの様な髪型をした女の子。

俺はその姿を見ながら?を浮かべる。


「あ。酉子ちゃん」


「お疲れ様だったね。今回のテスト」


「.....そうだね。有難う」


「愛の力だね」


「そだね。うん」


そう会話する2人を見る。

そうしていると、酉子、という女の子が俺を見た。

それから頭を下げてくる。

初めまして。私、花苗ちゃんのお友達の新居島酉子(にいしまとりこ)です、と。

1年坊主です、と言ってきた。


「そうか。.....宜しくな」


「.....はい。先輩。早速ですが」


「?」


「萌先輩と花苗ちゃんはどっちが好きですか」


「.....へ?」


「.....もうはっきりさせないと。.....私は.....待てません」


目が飛び出そうになる。

何だか波乱がまた起きそうな感じだった。

昔の事が忘れられないのは確かに分かります。でも.....それでも現実を見てほしいです、と言ってくる新居島。

俺は驚愕する。


「酉子ちゃん.....」


「私は断言しますが.....花苗ちゃんが好きです。.....なので私は.....貴方が優柔不断だし待てません」


「.....待てないって.....いや。気持ちは分からんでも無いが」


「それに先輩。先輩は決めているんじゃ無いですか?好きな人を」


「.....」


衝撃を受ける2人。

俺は、眉を顰めてから.....新居島を見つめる。

冗談でも言う事では無い。

俺は、それは言っちゃ駄目だ、と言うが。

新居島は涙を浮かべていた。


「決めて下さい。だって.....可哀想と思いませんか。花苗ちゃんが。萌先輩が」


「.....!.....そ.....それは」


「考えた事ないですか?女の子の気持ちを」


「.....」


俺は何も言えなくなった。

確かに今まで俺は気持ちを考えた事はあまり無い。

つまり簡単に言えば.....花苗の気持ち、萌の気持ちを。

俺は衝撃を受けてしまった。


「.....私は決めてほしいです。今この場所でも良いですから。待たされる身にもなってほしいですので」


「.....すまない」


ちょっと待って、と萌が言った。

それから新居島を見る。

俺は?を浮かべて萌を見る。


私は確かに答えは求めているよ、と言う。

でも、とも言った。

それから顔を上げる。


「それで無理に答えを求めるのは間違っているよ」


「.....そうだね。私も思う」


「それは分かるんですよ。心から。でも先輩。.....私は.....もう我慢出来ないですこの状況が。.....待っていたら駄目です」


そう言いながら俺を見る新居島。

俺はその姿を見ながら顎に手を添える。

でも決めたよ、と言いながら。

俺はしっかり考える、と。


「.....この花火大会で.....ある一定の結論は出す。決めたよ」


「.....え.....」


「.....隆っち?」


「.....その通りだと思った。俺は優柔不断だし。.....それに決めきれない。.....だけどそれでもある一定のまとめは言いたい。.....そうするよ」


有難うな新居島。

言いながら俺は新居島を見る。

新居島は涙を拭いながらそのまま頷いた。

うん、と言いながら.....。


その姿を見つつ俺は胸に手を添える。

そして2人を見ると。

2人は赤くなっていて.....それでいて期待している様な眼差しだった。

俺は応えれるだろうかこの2人の気持ちに。

思いながら俺は胸にギュッと手を添えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る