第16話 私達は待っているから
何が起こっているのか全く分からない。
そもそも.....何故。
何故、萌と花苗が俺を好いているのだ。
意味が分からない。
パニックになっているのだが.....!?
「取り敢えず私は告白したけど.....でも今は付き合えないんだよね?」
「そうだね。私もそう思う」
「.....そうだ。俺は付き合えない。.....それでも.....お前ら.....告白したのはそれなりに意味があるのか?」
リビングにて。
王様ゲームが途中破棄になってからだが。
意味があるよ。
この宣言はつまり。希望なんだ、と笑顔を浮かべる萌。
そして花苗も、私は想いだけでも伝えたかったから、と笑顔を浮かべる。
「女の子は告白したら変わるんだよ。色々と」
「だね」
「マジかよお前ら.....」
俺は赤くなりながら目を回す。
すると美穂が俺に向く。
それから、隆さん、と言ってくる。
俺は?を浮かべて顔を上げる。
そこには柔和になっている美穂が。
「私.....凄く嬉しかったです。.....今のこの状況が」
「.....何故?」
「私は.....貴方を支えてくれる人が沢山現れる事を願っていました。だから嬉しいんです。心から.....心から願っていましたから。.....私は貴方の幸せをずっと願っています」
「.....美穂.....」
今は好きにならなくても良いからね、と萌は言う。
そして花苗も、待ってるから、と八重歯を見せてから笑顔を浮かべる。
俺はその姿に赤面しながら頬を掻いた。
それから溜息を吐いた。
全くな、と思いながら、だ。
「美穂。萌。花苗。有難うな」
「.....ううん。こっちも我儘でごめんね」
「私も我儘だから」
「.....いや。大丈夫だ。お前らの想いは知ったから。.....有難う」
こうして俺は萌と花苗に告白を受けた。
俺は恥ずかしかったが.....だけど。
でも.....幸せだった。
そう愛されている事が、だ。
俺は考えながら笑みを浮かべる。
☆
そして萌と花苗と美穂はそのまま帰宅した。
俺はその姿を見送ってからコップとかを片付ける。
洗ってから。
それから顎に手を添える。
そうしてからまた赤面した。
「.....くぅ.....萌も花苗もふざけやがって.....告白なんぞ。同時に.....恥ずかしい」
俺は真っ赤になりながら頭をボリボリ掻く。
それから頭を横に振る。
全くな。
可愛い奴らだが.....。
そして少しだけ複雑な顔になる俺。
「.....俺はこんな何も決めれないのにな」
何をどうしたらこんな俺を好きになる?
こんな俺を好きになってもらって良いのだろうか。
俺は考えながら目の前の流れる水を見ながら悩んでしまう。
駄目だな。
こういう気持ちがあるから。
まだ俺は弱いんだ。
「姉ちゃんに頼らなくちゃいけない。それに過去が忘れられない。そんな未練だらけの迷惑掛ける男が.....好きになるなんて駄目だろ」
思いながらシンクに手をついてから唇を噛む。
全くな、と思いながら。
すると背後からいきなり何か抱き締められた。
姉ちゃんだ。
俺はビックリしながら背後を見る。
「気が付かなかったの?全く。我が弟よ」
「すまない。悩んでいて気が付かなかった」
「.....何を悩んでいるの?お姉ちゃんに話してごらんなさい」
「.....でも姉ちゃんには.....複雑な思いをさせるだけだし」
するとべしっと額を弾かれた。
俺は、あう、と声を出して額を触ってビックリしながら姉ちゃんを見る。
姉ちゃんは俺をジト目で見てくる。
それから、私はアンタより10年以上生きているのに今更複雑も無いわよ、と笑顔を浮かべる。
そして抱き締めてきた。
「.....姉ちゃん.....」
「話してごらんなさい。私に。何を悩んでいるのか」
「.....実は萌と花苗に告白されたんだ。でも何だかそれを考えて思っていると.....俺自身が情けない存在だなって思ったんだ」
「.....うん」
「俺は過去の女性もずるずる引き摺って忘れられない様なそんな.....情けないのにな」
姉ちゃんは笑みを浮かべながら聞いてくれた。
それからソファに座るのを促されて。
そのまま膝枕をされた。
俺は涙を浮かべる。
「.....アンタね。恋愛を忘れられないのは当たり前でしょ。相思相愛だったんでしょ?大切な人だったんでしょ?.....私だって高校時代に大切な人にフラれたの忘れられないんだから。それすら忘れられないんだから」
「.....」
「アンタは何も悪くない。悪いのは.....病魔よ」
「.....姉ちゃんにも迷惑を掛けているし」
「アンタ馬鹿ぁ?」
迷惑って、と笑う姉ちゃん。
アスカかよ、と思いながら俺は姉ちゃんを見る。
姉ちゃんはクスクス笑いながら下半身を触ってくる。
キャッ!?
「変態か!!!!!」
「大人に迷惑を掛けるのが子供なの。姉なら弟なの。.....こうして性◯理するのも姉の役割なの。だから迷惑を掛けなさい。当たり前だけどそれを迷惑と考えない事。良いわね?」
「.....姉ちゃん.....」
「だから大丈夫。.....悩むな。良いわね?」
それにしても、ち◯こ、成長した?大きくなった?
と目をパチクリして言ってくる姉ちゃん。
台無しだな!!!!?
俺は額に手を添えながら姉ちゃんを見る。
姉ちゃんは笑顔を浮かべた。
「こんだけふざけてもそれだけ元気ならもう大丈夫よ。アハハ」
「.....相変わらず助けられてばかりだな。俺は姉ちゃんに」
「そうも思わない事。私が貴方を支えるのは当たり前の事なんだから」
「.....」
元気が出たな.....。
下半身を触る必要性は無かったが。
俺は考えながら仏壇を見る。
そこに.....微笑んでいる佳奈を見ながら。
頬を叩いてから、よし、と言った。
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