第16話 私達は待っているから

何が起こっているのか全く分からない。

そもそも.....何故。

何故、萌と花苗が俺を好いているのだ。

意味が分からない。

パニックになっているのだが.....!?


「取り敢えず私は告白したけど.....でも今は付き合えないんだよね?」


「そうだね。私もそう思う」


「.....そうだ。俺は付き合えない。.....それでも.....お前ら.....告白したのはそれなりに意味があるのか?」


リビングにて。

王様ゲームが途中破棄になってからだが。

意味があるよ。

この宣言はつまり。希望なんだ、と笑顔を浮かべる萌。

そして花苗も、私は想いだけでも伝えたかったから、と笑顔を浮かべる。


「女の子は告白したら変わるんだよ。色々と」


「だね」


「マジかよお前ら.....」


俺は赤くなりながら目を回す。

すると美穂が俺に向く。

それから、隆さん、と言ってくる。

俺は?を浮かべて顔を上げる。

そこには柔和になっている美穂が。


「私.....凄く嬉しかったです。.....今のこの状況が」


「.....何故?」


「私は.....貴方を支えてくれる人が沢山現れる事を願っていました。だから嬉しいんです。心から.....心から願っていましたから。.....私は貴方の幸せをずっと願っています」


「.....美穂.....」


今は好きにならなくても良いからね、と萌は言う。

そして花苗も、待ってるから、と八重歯を見せてから笑顔を浮かべる。

俺はその姿に赤面しながら頬を掻いた。

それから溜息を吐いた。

全くな、と思いながら、だ。


「美穂。萌。花苗。有難うな」


「.....ううん。こっちも我儘でごめんね」


「私も我儘だから」


「.....いや。大丈夫だ。お前らの想いは知ったから。.....有難う」


こうして俺は萌と花苗に告白を受けた。

俺は恥ずかしかったが.....だけど。

でも.....幸せだった。

そう愛されている事が、だ。

俺は考えながら笑みを浮かべる。



そして萌と花苗と美穂はそのまま帰宅した。

俺はその姿を見送ってからコップとかを片付ける。

洗ってから。

それから顎に手を添える。

そうしてからまた赤面した。


「.....くぅ.....萌も花苗もふざけやがって.....告白なんぞ。同時に.....恥ずかしい」


俺は真っ赤になりながら頭をボリボリ掻く。

それから頭を横に振る。

全くな。

可愛い奴らだが.....。

そして少しだけ複雑な顔になる俺。


「.....俺はこんな何も決めれないのにな」


何をどうしたらこんな俺を好きになる?

こんな俺を好きになってもらって良いのだろうか。

俺は考えながら目の前の流れる水を見ながら悩んでしまう。


駄目だな。

こういう気持ちがあるから。

まだ俺は弱いんだ。


「姉ちゃんに頼らなくちゃいけない。それに過去が忘れられない。そんな未練だらけの迷惑掛ける男が.....好きになるなんて駄目だろ」


思いながらシンクに手をついてから唇を噛む。

全くな、と思いながら。

すると背後からいきなり何か抱き締められた。

姉ちゃんだ。

俺はビックリしながら背後を見る。


「気が付かなかったの?全く。我が弟よ」


「すまない。悩んでいて気が付かなかった」


「.....何を悩んでいるの?お姉ちゃんに話してごらんなさい」


「.....でも姉ちゃんには.....複雑な思いをさせるだけだし」


するとべしっと額を弾かれた。

俺は、あう、と声を出して額を触ってビックリしながら姉ちゃんを見る。

姉ちゃんは俺をジト目で見てくる。

それから、私はアンタより10年以上生きているのに今更複雑も無いわよ、と笑顔を浮かべる。

そして抱き締めてきた。


「.....姉ちゃん.....」


「話してごらんなさい。私に。何を悩んでいるのか」


「.....実は萌と花苗に告白されたんだ。でも何だかそれを考えて思っていると.....俺自身が情けない存在だなって思ったんだ」


「.....うん」


「俺は過去の女性もずるずる引き摺って忘れられない様なそんな.....情けないのにな」


姉ちゃんは笑みを浮かべながら聞いてくれた。

それからソファに座るのを促されて。

そのまま膝枕をされた。

俺は涙を浮かべる。


「.....アンタね。恋愛を忘れられないのは当たり前でしょ。相思相愛だったんでしょ?大切な人だったんでしょ?.....私だって高校時代に大切な人にフラれたの忘れられないんだから。それすら忘れられないんだから」


「.....」


「アンタは何も悪くない。悪いのは.....病魔よ」


「.....姉ちゃんにも迷惑を掛けているし」


「アンタ馬鹿ぁ?」


迷惑って、と笑う姉ちゃん。

アスカかよ、と思いながら俺は姉ちゃんを見る。

姉ちゃんはクスクス笑いながら下半身を触ってくる。

キャッ!?


「変態か!!!!!」


「大人に迷惑を掛けるのが子供なの。姉なら弟なの。.....こうして性◯理するのも姉の役割なの。だから迷惑を掛けなさい。当たり前だけどそれを迷惑と考えない事。良いわね?」


「.....姉ちゃん.....」


「だから大丈夫。.....悩むな。良いわね?」


それにしても、ち◯こ、成長した?大きくなった?

と目をパチクリして言ってくる姉ちゃん。

台無しだな!!!!?

俺は額に手を添えながら姉ちゃんを見る。

姉ちゃんは笑顔を浮かべた。


「こんだけふざけてもそれだけ元気ならもう大丈夫よ。アハハ」


「.....相変わらず助けられてばかりだな。俺は姉ちゃんに」


「そうも思わない事。私が貴方を支えるのは当たり前の事なんだから」


「.....」


元気が出たな.....。

下半身を触る必要性は無かったが。

俺は考えながら仏壇を見る。

そこに.....微笑んでいる佳奈を見ながら。

頬を叩いてから、よし、と言った。

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