前へ進む為に
第14話 花苗と萌への隆の過去の告白
期末考査の当日になった。
俺は必死に勉強.....した訳でも無いが取り敢えずは簡単過ぎる問題を程々に調節して解いてから。
そのまま午前の前半戦のテストだったので花苗と萌と一緒に結果を聞きながら帰っていた。
萌と花苗を見る。
「テストはまだ終わってないから明日の対策の為に勉強会すっぞ」
「えぇ.....またぁ?面倒臭いよぉ.....」
「でも確かに頑張らないと花火大会に行けないもんね」
「そういう事だ。萌。花苗。大丈夫。俺が居る。それから.....」
俺は2人を連れてやって来た俺の家の前を見る。
そこには事前に連絡して待ち合わせていたその子が居た。
その子ってのは.....美穂さんだ。
容姿は.....黒髪の長髪にお淑やかな感じで眼鏡を掛けている。
何故.....この子を呼んだのか。
それは簡単だ。
話そうと思ったのだ。
この気持ちを.....。
その為に協力してもらおうと思って呼んだ。
美穂さんを、だ。
2人は目を丸くしながら美穂さんを見る。
「隆。誰?」
「.....俺にとってはとても必要な人であり.....お前らに話がある」
「.....え?」
「.....俺が恋をしない事を教えてやろうって思ってな。その理由を」
萌と花苗は目を丸くする。
それから.....これまで見た事のない様な感じで知りたそうな顔をした。
俺は、そういう顔をするって思った、と話しながら。
美穂さんを見る。
そんな美穂さんは頷きながら頭を下げてくる。
「初めまして。私は.....嵐山美穂です」
「.....初めまして。宜しくです。私は元森花苗です」
「私は桃井萌と言います」
「.....初めまして」
そして俺は自己紹介も終わった所で。
萌と花苗と美穂と一緒に家に入る。
今日で全てを話そう。
コイツらには.....俺が何故、恋をしないのかを。
大切な人達だから話したい。
そう思ったから。
☆
「試験勉強の前に聞いてくれるか」
「.....うん」
「聞くよ。当然。今直ぐにでも聞きたいもん」
「.....そうか」
ソワソワしながら俺を見てくる2人。
リビングの椅子。
対面に2人が座りその前に俺と美穂が腰掛けている様な形だ。
俺は胸に手を添えて横から肩に手を添えてくる美穂を見てから。
そのまま目の前の2人を見る。
「.....俺な。.....幼稚園時代に女の子を。お互いに好き同士で.....好きだった女の子を1人亡くしたんだ」
「.....え.....」
「.....!!!!!」
「.....だから俺はそれがショックでな。今でも恋は出来ないんだ」
花苗と萌は衝撃故か泣き始めた。
そして、どれだけ苦しかったの.....、という感じで、だ。
だから好きなんだよな。
コイツらの事が、だ。
隆.....苦労したんだね、と言ってくる。
「.....ゴメンな」
「.....それはこっちの台詞だよ。.....でも何でそんな事を言わなかったの。悲しいよ」
「.....そうそう」
「お前らを傷付けたくなかった。だから話さなかったんだ」
「.....それはかなりショックだよ。隆」
「そうだね.....」
話して欲しかった、と泣きながら怒る感じを見せる2人。
俺はその姿を見ながら歯を食いしばる。
それから、ゴメンな、とだけ呟く。
でも言えなかったんだ、とも。
すると美穂が、ちょっとすいません、と切り出す。
「.....萌さん。花苗さん」
「はい.....?」
「何でしょう.....」
「私は.....今話せる様な感じにようやっと彼はなったんです。だからあまり彼を責めないであげて下さい」
「.....美穂.....」
萌と花苗は顔を見合わせる。
それから、そうだね、と答えた。
そうしてから、私達も悪いね、と言ってくる。
そして顔を上げた花苗。
「美穂さんは.....ずっと助けてくれたの?隆っち.....じゃなくて隆を」
「.....そうですね。陰ながらサポートは協力はしていました。鳥居さんもそうですが.....隆くんをずっとサポートしていました」
「.....だな」
「.....じゃあ今度は私達もサポートする番だね」
萌はそう言いながら俺の手を握る。
そして花苗も握ってくる。
満面の笑顔で、だ。
それから、何かあったら話してよ?隆、と言ってくる萌。
そうしてから花苗も、そうそう、と言ってくる。
それを見てから俺は美穂を見る。
「.....な?優しいだろ。コイツら」
「.....そうですね。私.....安心しました」
「.....萌。花苗」
「.....何?」
「実は呼んだのはこの話をするだけじゃないんだ。今度.....美穂が転入して来る。だからその分助けてやってくれないか」
「.....!.....勿論さー!」
そんな笑顔を浮かべながら萌と花苗は美穂の手を握る。
それから、助けてあげるどころか友達になりたい!、と笑顔を浮かべた。
そうしてからぎゅっと握る。
その言葉に美穂は見開いて.....涙を浮かべた。
「.....何だか萌さんはお姉ちゃんで。.....そして花苗ちゃんが鳥居さんに見える.....」
「.....エヘヘ。そうかな」
「.....そうであったら嬉しいさー」
そんな会話を聞きながら俺は笑みを浮かべる。
そして暫く駄弁りながら。
そのまま勉強を始めた。
何だか.....胸のつっかえが.....ようやっと取れた気がした。
言えない事を.....ようやっと言えて。
俺は安心した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます