第13話 嵐山佳奈という太陽

花苗と新居島は仲が良いんだな。

そう考えながら俺は欠伸をしながら飯を食ってから。

風呂に入りそのまま横になっていた。

このまま眠ってしまっても良い感じだが。

考えながら俺はスマホをポチポチする。


「しかし今日は色々あったな.....」


そんな事を考えながら。

俺は机に置かれている手紙を見る。

その手紙は鳥居に任させられた手紙だ。


そしてその手紙を見てから写真立てを見る。

佳奈と一緒に撮った写真。

病院で撮った写真だ。


「.....正直に言ってまだ好きにはならないだろうな。.....でもお前の気持ち。確かに受け取ったよ。佳奈」


その様な事を呟きながら。

俺は写真立てを戻す。

するとスマホに電話が掛かってきた。

俺は!?と思いながら画面を見る。


そして出る。

もしもし!?、と。

っていうか非通知だった様な。

出ない方が良かったかもしれないが.....。


『もしもし。此方は隆さんの携帯電話でしょうか』


「.....はい。そうですが.....どちら様でしょうか」


『私は.....佳奈お姉ちゃんの妹です』


「.....ああ!君.....もしかして嵐山美穂ちゃん?懐かしい!」


『はい。お久しぶりです』


佳奈には妹が居る。

その妹は.....嵐山美穂さんと言う、だ。

少しだけ佳奈とは違って人見知りだったな。

俺は思いながら思い出す。

懐かしい記憶だ。


『突然のお電話すいません』


「ああ。良いけど.....誰から聞いたんだ?この電話番号」


『拝さんです。電話番号を教わりました』


「ああそうなんだな。.....だから知っているんだな。.....どうしたんだ?いきなり」


『.....はい。.....えっと。お姉ちゃんが亡くなってから11周忌が来ましたので.....』


そんなに経つか。

俺は思い出してハッとする。

それで電話をくれたのか?、と聞いてみる。

すると、はい、と返事をした。

私は人見知りでした。だからなかなか電話する事が出来なくて今に至りました、と電話してくる。


『御免なさい』


「.....気にしてない。.....気に病まないでほしい」


『そういう優しい所は相変わらずで.....。優しいですね』


「.....クソガキだったけどな。本当に当時は迷惑を掛けたな」


『私も子供でしたよ。だから.....何も出来なかったから』


「.....そんな事は無い。お前は頑張ったよ。美穂」


そうですかね、と弱々しい声で言ってくる美穂。

俺はその言葉に、美穂。お前もそうだけど.....多分だけど鳥居と俺を励まそうとしてくれたんだよな?、と言ってみる。

話題を変えよう、と思いながら。

すると美穂は、手紙ですね、と言ってくる。


『隆さんが落ち込んでいる様子だったので.....そろそろかなって思いまして渡させてもらいました』


「お前のその事が嬉しかったよ」


俺は目の前の写真立てを見ながらその様に笑みを浮かべて答える。

すると美穂は、有難う御座います。天国できっとお姉ちゃんも喜んでいます、と答えながらグスグスと音を鳴らした。

泣いている様だ。


「えっと11周忌は参加させてもらおうかな」


『はい。是非.....うちに来て下さい。その時は歓迎します。お父さんもお母さんもみんな歓迎します』


「.....ああ」


『.....あ。えっと。それからですね。私ですけど.....隆さんの高校に編入します』


「え?マジで?」


はい、と言いながら答える美穂。

俺はその言葉に、そうなのか、と笑顔を浮かべる。

そして、じゃあもし良かったら俺の知り合いを紹介するよ。同級生になるんじゃ無いかな、と答える。

美穂は、え?それ本当ですか?、と明るく言ってくる。


「ああ。お前なら歓迎するよ」


『嬉しいです。結構迷っていたので.....』


「.....だよな。.....孤独って.....辛いよな」


『.....隆さんは2回も孤独を経験していますからね。それを考えると隆さんって強いなって思います』


1回目の孤独は俺自身が天才故に孤独に。

2回目は佳奈を失った孤独を。

俺の人生って何だろう、ってよく考える。

だけどそれでも周りがこうして明るく.....接してくれるから。

俺という人間が成り立っていける。


「.....美穂。俺は孤独だ。だけど今度はお前を助けるよ。俺が」


『.....え?』


「もう俺は孤独じゃ無いんだ。周りに頼りになる人達が居るからな」


『隆さん.....』


「明るく.....お前に接する事が出来る。安心して編入して来いよ」


お前も仲間に加わって.....笑顔でいこう、と俺は笑みを浮かべる。

それからベッドから立ち上がった。

美穂は、はい、と涙声で返事をする。

俺はその言葉に本棚を見ながら。

そして机の手紙を見ながら柔和になった。


「.....美穂。有難う」


『私は何もしてないです。全てはお姉ちゃんがやってくれました』


「お前は自慢の妹だな。アイツにとっては」


『.....はい.....』


号泣しながら返事をする美穂。

俺も少しだけ泣きそうになったが。

男が泣くのも悪いかと思って泣かずに。

耐えながらそのままその日は電話を切った。


嵐山佳奈


彼女は.....本当にみんなの心に居るんだな。

そう思える様な.....そんな感じだった。

暖かい感じだ。

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