第3話 頭が良すぎるが故に

俺は頭が良すぎる。

その為にボッチになった。

は?お前は何を言っているんだ、と思うかもしれないがこれは事実だ。


何故そうなるのかって?簡単だ。

俺は頭が良すぎるから平凡が分からない。

ただそれだけだった。

そんな中で俺は萌と花苗に出会う。

2人は.....俺を、そんな事がどうした、的な感じで接してくれた。


俺は.....幸せだと思う。

だからこそコイツらと一緒に進級したい。

その為に必死に頑張っている。


実際の所、ふざけている様に見えるがコイツらも結構頑張っている。

なので俺はその想いに応えたいのだ。

俺はきっと過保護な面もあるとは思うけどな。


「デートの次は何を満たしてくれるの〜?」


「.....お前さん.....何考えてんの?」


「デートだけじゃ物足りないの」


「.....」


寝っ転がりアイスを食べる2人。

前言撤回。

俺はコイツらをクソだと思った。


家事をして戻って来ると.....。

コイツら俺のアイスを何だと思って食ってんだよ。

ふっざけんなマジに。

購入費の300円返せ。

税込で。


「隆っちはケチケチし過ぎ〜」


「そうだねぇ。花苗ちゃん」


「ああそうか.....つーかお前ら!!!!!自習はどうした!!!!!」


「面倒臭くなった」


「だねぇ」


戻って来たらそのシナリオに沿って教える約束が!

このアホども何もしてねぇ!、と思ったのだが。

アイスを食い終わってから木の棒を齧りつつ起き上がる花苗。

それからニヤッとしてノートを見せてくる。

何と.....問題が解かれているでは無いか!


「しかし半分間違っている.....!?」


「ウェ!?マジ!?」


「マジだ.....が。凄いな。花苗。見直した」


「見直した!?ありがちょ!.....えっへん。私だってやれば出来る子なのだー」


花苗はニコニコしながら数学ノートを置く。

それから萌が次は見せてきた。

問題が半分しか合ってない!.....が.....それでも。

頑張ったなコイツら。

第一の進歩だと思える。


「ところで何でこんなに頑張ってんだ?」


「え?.....あ、えーっと」


「まあ頑張ろうと思ったから。赤点になりたくなかったから」


「.....?.....そうか」


俺は、?、を浮かべながらだったが。

そのまま俺もアイスを食べてから、じゃあこれ食って休憩したら勉強するか、と言い出すと2人は、うんうん、と頷いた。

やる気満載だな.....珍しい。

俺は様子に苦笑しながらそのまま棒アイスをクーラーの元で食べつつノートを捲る。

それから採点していると。


「ねえ。隆」


「.....何だ?萌」


「何でデートって言葉が出たの?」


「.....い、いや。冗談のつもりで言ったんだ」


軽蔑する様な目で見てくる萌。

それからツーンとした。

エセヤンデレとは思えない目付きで、だ。

俺は顔を引き攣らせる。


「.....そうなんだー。ふーん。そうなんだねぇ.....女の子を傷付けるよ?それ〜」


「あ、ああ。すまん.....冗談がキツかったな」


「うん。キツかった。私にとっては」


「.....え?それってどういう意味だ」


「.....!?.....い、いや何でもない。ゴメン」


いきなり恥じらって隠す様にする萌。

何だ一体。

さっきから怒ったり落胆したり忙しいな。

でもそういう事態を招いたのは俺だからな.....。

謝らないといけないか。


「私も冗談に思えなかったんで謝って下さいメンス」


「花苗もか?.....分かった。謝るよ」


「悪いと思っているでナス?じゃあ私にジュースを奢ってナス」


「.....お前.....いや良いけど.....」


「やった!」


ニコニコしながらあぐらをかいて座る花苗。

何というか食いっぷりが凄いな.....。

まあ良いけど腹壊すなよ、と俺は告げながら苦笑してそのまま採点に戻る。

凄い.....50点はいっている。

良かった感じではある。

まだまだ範囲をカバー出来ないけど。


「どう?隆」


「.....いや。結構合っているぞ。正答率が高いな」


「やった。頑張ったからね。花苗ちゃんと一緒に密かに」


「.....ああ。そうなのか」


「そうだよ。隆っち」


「.....お前ららしいな。こうやって陰ながら頑張るって」


目を丸くする2人。

俺は、?、を浮かべる。

そしてボウッとまた火が点いた様に赤面する2人。

何だよ一体.....忙しいな.....。

俺は考えながら見ていると、そんなに私達の事を思っているの?、と聞いてくる。


「当たり前だろ。お前らは大切な存在だからな」


例えばこの先。

婚約が内定しても.....コイツらを見送るつもりだ。

俺が父親の様に、だ。

それぐらい.....絆は深いから。

考えながら目を閉じていたのを開けてから笑みを浮かべる。


「俺にとってはお前らは救世主だから」


「.....」


「.....そのセリフもう何回も聞いたねぇ」


「オラァこの野郎!!!!!」


せっかくの良いセリフを!

マジに台無しじゃねぇか!!!!!

俺はツッコミを入れながら花苗と萌に手を回す。


花苗も萌も笑いながら俺にふざけていた。

全くコイツらは.....。

と思いながらも俺も笑っていた。

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