4 別離と訪問

「じゃあ、私はそろそろ行くね。ガーラ」

「師匠、あなたに師事できるよう、俺はさらに腕を磨きます」


 塔を降りたところでアリスやシュナイドとは別れることになった。


「二人とも達者で。またいずれどこかの戦場で会いそうだな」


 微笑む私。


 実際、魔族侵攻が迫るきな臭い情勢だ。

 猛者である二人とは、必ずどこかで会えるだろう。


「うん、またね……」


 言いながら、アリスがどこか寂しげな顔をする。


「どうかしたか、アリス?」

「えっ、あ、いえ、別に……っ」


 首を振った彼女の顔は、心なしか赤らんでいるような……?


「それじゃっ」


 逃げるように去っていくアリス。


「俺も行きます」


 シュナイドが言った。


「ああ、それと私は君の師匠ではないからな」

「いずれ認めさせてみせます。俺があなたに近い実力を身に付けたら――その素質を見せつければ、あなたは俺を弟子にしてくれるのではないですか?」

「なかなか強情だな」

「強さを貪欲に求めている、と解釈していただきたい」


 ニヤリと笑うシュナイド。


「ははは、君らしい」

「では」


 シュナイドも去っていった。


 その場に残されたのは私とナターシャ、そして他の魔術師たち。


「では、これを使って、どうやってルーファスと接触するかだな」

「ああ。彼ならきっと『賢者の石』の魔力を感知できるだろう。後は彼が立ち寄りそうな場所までこれを持っていけば、彼の方から――」


 と、




「へえ、『賢者の石』か」




 いきなり、楽しげな声が響く。


 ――まさか、いきなり訪れるとは。


 振り向けば、そこに笑顔のルーファスが立っていた。







***

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