12 白雷妃の剣

「さあ、私の魔力を食らい、放て――」


 アリスの掲げた『白雷妃の剣メアディス』が、まばゆい輝きを放った。


「【超電導烈砲ライトニングキャノン】!」


 輝きは彼女の前方で収束し、純白の稲妻となって撃ち出される。


 ごうっ……!


 一撃、だった。

 白雷に飲みこまれたアダマンタイトは障壁ごと瞬時に消滅する。


「おお……っ」


 私は思わずうなった。


 先ほどの雷撃とは桁違いの出力。

 最上級呪文と同等か、それ以上のエネルギーだろう。


「ふうっ、気持ちいいっ」


 アリスが剣を鞘にしまう。


「――見事ね」


 ナターシャが言った。


 他の魔術師たちも息をのんでいる。


「私の最大雷撃の五倍以上の出力よ。瞬間的になら、さらに上の威力も可能――といっても、剣の助けがあってこそ、だけどね。私一人でこの威力は無理」


 アリスは苦笑した。


「それにチャージ時間もかかるし、さっきみたいに相手が『待ち』の姿勢になるか、虚をつくか――使いどころに工夫がいる術式よ」

「だが、決まれば大ダメージ。大きな進歩だな、アリス」


 私は彼女に声をかけた。


「次にガーラとやるときは、今のをぶちかますからねっ」

「はは、できれば食らいたくないな」


 私たちは悪戯っぽく笑い合った。




 そして、さらに進む。

 道中はほぼ楽勝だったので、説明を割愛する。

 で、


「あ、次のフロアボスじゃない?」


 アリスが言った。

 30Fに続く階段の前に、三体目のフロアボスの姿があった。


 ドラゴンタイプのモンスターのようだ。


「また私がちゃちゃっと倒しちゃおうかな?」

「待て、アリス。君はさっきも戦っただろう」

「だって、まだ魔力に余裕があるし」

「私のときは見せ場を譲れと言ったくせに」

「えへへへ、それはそれ、これはこれ」

「まったく……」


 と、私とアリスが言い合っていると、


「ここは俺に行かせてもらおう」


 進み出たのはシュナイドだった。


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