11 アリスの強さの源は

「来るがよい、人間よ――」


 アダマンタイトが厳かに告げた。


「【雷撃】っ!」


 アリスが雷撃魔法を放つ。


 ばちぃっ!


「無駄だ」


 が、アダマンタイトの甲羅から発生した半透明の障壁が、その雷撃をあっさりと弾き散らす。


「効かない――」


 アリスは剣を手に突っこんでいく。


「魔法剣ならっ!」


 雷をまとった剣を叩きこむ。


 ばちぃっ!


 が、やはりアダマンタイトには通用しない。


「魔法は障壁で、物理攻撃は我が甲羅で防ぐ。我に一切の攻撃は通用せん」


 勝ち誇るアダマンタイト。


「ふーん……防御に自信ありってやつよね」


 アリスは不敵に笑った。

 魔法も魔法剣も封じられながら――不敵に笑っていた。


「じゃあ、私の新しい術式にちょうどいい相手だわ」

「何?」

「試させてもらうね。新技の威力を――」


 ぱりっ、ぱりっ。


 アリスの髪が帯電しながら逆立った。


「見てて、ガーラ。これが私の目指す道」


 彼女の全身から黄金のオーラが立ち上る。


「この強さで、私は大切なものすべてを守っていく」


 凛とした声音には、確かな意志の強さが感じられた。


 彼女はもともと村を救うために武術大会に出ていた。

 きっと大切な者たちを『守る』という行為こそが、彼女の強さの源なのだろう。


 ならば今は――。


「仲間を、守る。そして恩人のあなたを守る」


 アリスが振り返って微笑んだ。


「その思いが、私に力を与えてくれる。私を強くしてくれる」

「だが、その強さも我には通じぬ」


 と、アダマンタイト。


「先ほどの攻防で魔法も魔法剣も通じなかったのを忘れたか?」

「そうね、私の力は通じなかった。だから」


 アリスが剣を振りかぶった。


「もっと強いのを行くよ」

「何?」

「これは剣じゃない。『増幅器』なの」


 アリスが剣を振りかぶる。


「さあ、私の魔力を食らい、放て――」


 剣が、まばゆい輝きを放つ――。






***

〇『いじめられっ子の俺が【殺人チート】で気に入らない奴らを次々に殺していく話。』

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