10 次のフロアボス


 私たちはさらに進む。


 アリスやシュナイド、ナターシャと魔術師たちの活躍もあり、道中はほとんど苦労しなかった。


 現れたモンスターはすべて瞬殺。

 罠はことごとく魔術で解除。


 私の出番は、フロアボス撃破以降はまったくない。

 さすがに少々物足りなく思い始めたところで――。


「次のフロアボスか」


 20Fに到達したところで、上階への階段の前に一体のモンスターが立ちはだかっていた。


「『アダマンタイト』ね」


 アリスがつぶやいた。


 巨大なカメのモンスターで、防御力がとにかく高い。


 私にとっても、本気の一撃でなければ、攻略に手間取りそうな相手だった。

 この手甲脚甲を使って、どう戦うか……だな。


 頭の中で戦略を練っていると、


「ここは私の出番ね」


 アリスが進み出た。


「ガーラはさっき戦ったから、一回休み」

「連戦は苦にならないが――」

「駄目よ。私たちだって見せ場が欲しいもの」


 アリスがにっこり笑う。


「見せ場の独り占めは禁止」

「う……そうか」


 そう言われては引っこまざるを得ない。


「それに――『これ』を試してみたいからね」


 言って、アリスは背中から剣を抜いた。


 刀身も柄もすべてが真っ白な細身の剣。

 武器というより芸術品のように美しい代物だ。


「その剣は――」

「さっきギルドで師匠から譲り受けたの。今の私のレベルなら、そろそろ使えるようになってるだろう――って」


 白い剣を構えるアリス。


「いくわよ、『白雷妃の剣メアディス』」


 己の剣に呼び掛けた。


 ぱりっ、ぱりっ。


 刀身がまばゆい電光をまとい始める。

 雷の力を秘めた剣――といったところだろうか。


「さあ、ここからは――私の見せ場よ!」


 アリスとフロアボスの戦いが始まった。

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