3 塔に挑むメンバー

「君たちが加わってくれる、と?」

「へえ、『雷撃剣』のアリスか」


 女魔術師ナターシャがニヤリとした。


「魔術師ギルド期待の黄金ルーキーが参戦とは……面白いじゃない」

「アリス、君はそんな有望株だったのか?」

「ふふん、見直した?」


 自慢げに胸を張るアリスに、私は素直にうなずいた。

 と、女魔術師がシュナイドに視線を向ける。


「そちらの戦士は――」

「シュナイドだ」


 重々しくうなずくシュナイド。


 彼のまとう気配が以前とは違う。

 わずかな動きやたたずまいだけで分かる。


 以前よりも、かなり強くなっていることが。

 武術大会のあと、独自に修行を積んでいたのだろう。


 若者の成長ぶりを見ていると、私まで嬉しくなってくる。


「『竜殺し』とも呼ばれるが」

「……! 当代最高の戦士の一人じゃない。これは心強いわ」


 彼女が驚いた顔になる。


「アリスとシュナイドがいればどうにかなりそうね。そこの君、どうしても来るなら止めないけど、私たちの足を引っ張らないように」


 と、ジト目で私をにらむ。


「はは、善処しよう」

「ちょっと待った。この方に対して無礼ではないか」


 シュナイドが進み出た。


「ガーラ殿は、俺よりもはるかに腕が立つ」

「ご冗談を」


 彼女が笑った。


「私は『死霊の操り手』ナターシャ。まあ、あなたがそう言うならこの少年もメンバーに加えましょう」


 彼女が二人に名乗り、周囲を見回した。


「他にこの一団から数名を選びましょう。塔内は狭いし、あまり大人数で挑むのは得策ではないわ」




 ――こうして選抜メンバーが決まり、闘神の塔に挑むことになった。

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