5 ルナリア参戦

「ルナリア、それにメリルも……」

「加勢するぞ、ガーラ」


 ルナリアが告げた。


「お前だけに戦わせるわけにはいかない」

「しかし、相手は強大な魔族だ。君は――」

「あたしを舐めるなよ、ガーラ」


 ルナリアが告げる。


「メリルの力を借りれば、あたしの力は最大限に引き出される。こっちの太った奴は引き受けるから、お前はもう一体を頼む」

「しかし――」

「お前は強いが、やはり子どもだ。かなりスタミナが減ってきているだろう? あたしの目は節穴じゃないぞ」

「……!」


 見抜かれていたか。


「向こうにはまだ、もう一体控えているんだ。少しでも体力を温存してくれ」


 ルナリアが言った。


「まあ、もう一人の方はこの巨人ほど強そうではないが……」

「……どうかな」


 私は小さく首を振った。


 確かに外見だけなら、ガリオンの方がラシェルよりもはるかに強そうに見える。


 だが、私は感じ取っていた。

 わずかな動きや、二人の魔族の間に流れる空気感、そして何よりもラシェルからにじみ出る、抑えてもなお抑えきれないほどの……すさまじい威圧感。


 おそらく、ラシェルはガリオンより格上だ。


 もしかしたら圧倒的に――。


「あたしも、力になりたいんだ。多くの人を守る力に」


 ルナリアが凛として告げる。


「ここは我が国ではないが――同盟を結んだ友好国。この国の民は我らが国の大切な友人だ」

「ルナリア……」

「だから守る。王女として、剣を振るう――さあ、いくぞ。メリル」

「いつでも」


 美少女騎士とメイド美女が並び立つ。


 どんっ!


 ルナリアが地を蹴り、ガリオンへと突進する。


「【加速】!」


 スキルによって、その速度が倍加した。


 速い――。

 もともと超一流の剣士であるルナリアの動きが、さらにスピードアップし、まるで雷光のような速度で突っこんでいく。


「【全強化オールバフ】!」


 メリルが叫んだ。


 これは――!


 加速状態のルナリアの体が薄桃色の輝きに包まれた。


 雷光のごとき速度から、さらにそれを超える速度へと――ルナリアは異常なまでに加速し、ガリオンに肉薄した。


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