14 ルナリアとのひととき
「せっかく会えたんだ、その辺りで一緒に食事でもどうだ?」
ルナリアが誘ってきた。
「それはいい。ぜひご相伴にあずかろう」
「ふふ、あたしは王都には何度か来ているからな。美味い店をいくつも知っているぞ」
「ほう、楽しみだ」
私たちは、ルナリアのお勧めだという料理店に入った。
郷土料理をメインにしている店で、キラル王国で採れた新鮮や野菜や肉、魚介類がふんだんに盛られたメニューが並ぶ。
まず肉と野菜の炒め物を注文した。
「ほう、美味いな!」
私は舌つづみを打った。
独特な個性とかではなく、基本に忠実という感じのオーソドックスな味付け。
だが、それゆえに料理人の腕前がストレートに反映されているともいえる。
この店の料理人は、間違いなく一流だ。
「だろう?」
ルナリアが嬉しそうだ。
「諸国を回って、さまざまな料理を食べたが、ここは間違いなくその中でもトップクラス……まさに隠れた名店だな」
細い路地にあるこじんまりとした店なのだが、大通りに店を構えるような一流店にも決して引けは取らない。
むしろ勝っているだろう。
「美味い、美味い……!」
どんどん食が進む。
そんな私を見て、ルナリアが微笑んでいた。
彼女自身も野菜スープを美味しそうに食べている。
と、
「少し――大人っぽくなったか、ガーラ?」
ぽつりとつぶやくルナリア。
「ん、そうかな?」
「ああ、以前と印象が変わって見える」
「私は特に変わったつもりはないが……」
私は微笑みを浮かべた。
「前に会ったときは。まだまだ子どもだと感じていたが、今は……なんだろう、胸がちょっとドキドキして……」
「ん?」
「――姫様、おひとりで出歩くのはおやめくださいと再三申し上げたはずですが?」
「ひあっ!?」
まったく気配がなく、いきなりルナリアの背後に一人の人物が現れた。
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