13 王女ルナリアとの再会

 足元まである長い銀色の髪に青い瞳。

 神秘的な美貌を持つ美しい少女――。


 ガドレーザ王国第一王女ルナリア。


 私が10歳に生まれ変わり、最初に遭遇した事件で知り合った少女だ。


「なぜ君がここに……?」

「王女としての政務だよ。とりあえず今日の仕事は一段落したから気分転換で、こうやってお忍びで散策していたのさ」


 と、ルナリア。


「なるほど……」

「そういえば、ウィナス王国の武術大会で優勝したらしいな。あたしのところにも話が入ってきたよ」


 ルナリアが笑う。


「あいかわらずすごいな、お前は」

「いや、まだまだだ。この体を使いこなすには、さらなる鍛錬と経験が必要だろう」


 私はそう返した。


 謙遜ではない。

 全盛期の私に比べれば、やはり『この体での私』はまだまだ劣る。


 この体における最強の戦い方を探っていかなければならない。

 来たるべき決戦のためにも――。


「そういえば、君にもぜひ聞いてほしい話がある」

「ん、なんだ?」

「私はその大会で魔族と出会った。そいつから聞いた話だ――」




 私は一通りの事情をルナリアに話し終えた。


「魔族の侵攻……?」

「ああ、そのためには世界の列強が結束する必要があるだろう」

「次期魔王候補の高位魔族か……きな臭い話だな」


 かつての魔王――『黒の魔王』は私と数人の仲間たちが死力を尽くし、これを撃退した。

 だから高位魔族レベルであれば、私一人でもなんとかなるだろう。


 全盛期の力を使えれば、の話だが。


 今の私が高位魔族とどの程度渡り合えるのかは未知数だった。

 それに、次期魔王候補とやらが『黒の魔王』と同等の力を持っていたとしたら、全盛期の私でも一人では勝てないだろう。


 とにかく、強者は一人でも多い方がいい。


「分かった。あたしの国でも防備を固めよう。あたし自身も魔族との戦いでは前線に出る」

「ルナリア……」

「非常事態だからな。体を張るさ」


 ニヤリと笑うルナリア。


 女傑、という言葉が本当に似合う少女だった。


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