7 ルーファスの贈り物

 ルーファスが右手を一振りすると、空中から何かが降ってきた。


「これは……?」


 私はそれを受け止める。

 長さ三十センチほどの円筒形の魔道具。


「簡易型の魔法増幅弾マジックミサイルだよ。僕のオリジナル発明さ」

「マジックミサイル……?」

「君は武闘家で、魔法は使えないみたいだからね。魔法が必要な敵が現れたら、適当な魔術師を雇って、そいつを使わせるといい」


 と、ルーファス。


「たぶん三流の魔術師でもそれを使えば一流の魔法を操れるよ。消費型アイテムだから一回きりだけどね」

「……確かに私は魔法を使えない。このアイテムはありがたくいただこう」


 私はルーファスに一礼した。


「ねえ、また会えるかな?」


 去り際にルーファスが言った。


「ふむ、縁があればな」

「じゃあ、楽しみにしてるよ。僕、友だちが少ないからね」


 子どものように目をキラキラとさせるルーファス。


「はは、友か。それはいい」


 私はルーファスとともに笑った。


「私も君と友になれて嬉しいよ。では、またな。ルーファス」

「じゃあね、ガーラくん」




 私は街道を進む。


 生前から十年が経過したとはいっても、世界の様子は変わらない。

 まあ、その間に世界的な事件が何かあったのかもしれないし、平穏な世の中だったのかもしれないが……人々の雰囲気は似たようなものだった。


 今が戦時ではなく平時なのだと思わせる、笑顔に満ちた町並み。


 私はそんな町並みをいくつも通り過ぎ、やがて王都にたどり着いた。


 まずはこの国の重鎮に会い、魔族対策の必要性を説きたいところだ。

 もちろん、国同士でも連携はするだろうが、魔族の脅威は、何よりも実戦を経験した者の言葉は重みが違う。


 そんな人間の一人として、強国に説いていきたい。


 かつて魔王大戦を経験した人間の一人として――。


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