2 武神と竜殺しと雷撃剣

「いや、あなたにはすでに弟子入りを断られていたな。未練がましくて申し訳ない」

「いや、こちらこそ済まない。熱心に頼んでもらったのに……」


 シュナイドと私は互いに謝った。


「昔、一人の弟子との間にいざこざがな……多くの犠牲者を出してしまった……だから、今はもう弟子は取らないんだ」

「昔? 今よりもさらに年少の時代に弟子を取っていたのか?」

「あ、いや、まあ……」

「――ふむ。さすがは我が師。強さに年齢は関係ないのだな」


 シュナイドは勝手に納得してくれたようだ。


「ともあれ、俺は自分で腕を磨くとしよう。いつか、あなたに認めてもらえる日が来るまで、精進を積む――では、さらば」


 一礼して去っていくシュナイド。

 と、その足が止まり、


「武神ガーラ殿、あなたに会えて――あなたと戦えて、本当によかった。ありがとう」

「私も、君と戦えたことを誇りに思うよ。いつか、また戦おう」


 こうして私は『竜殺しのシュナイド』と別れた。


「私自身も出発しなければ、な」




「えっ、もう行っちゃうの、ガーラ?」


 アリスが言った。


「ああ、私は魔族軍との戦いに耐えうる猛者を探しに行く。そして、来たるべき侵攻の際には力になってくれるよう、前もって頼むつもりだ」

「猛者……か。私も、もっと強くならなきゃね」

「君は十分に強いさ。ただ鍛錬の余地はもちろんある」


 私は微笑み、大きな革袋をアリスに手渡した。


「これを君に渡しておこう」

「えっ、これって――」


 ずっしり重いそれの中には大量の金貨が入っている。


「大会の優勝賞金だ。バシューレとの試合は私の勝ちという扱いになっているからな」


 私がにっこりと説明した。




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