第2章 武術大会

1 ウィナス王国武術大会


 私はガドレーザ王国を抜けると、ウィナス王国に入った。


 ガドレーザに比べてかなり栄えている。

 大通りに立て看板があるのを発見した。


「これは――」


 三日後、この国で大規模な武術大会が行われる、と書かれている。


「ほう、なかなか面白そうだな」


 武術大会なんて何十年ぶりだろう。


 若いころの一時期、腕試し代わりに色んな大会に出ては優勝し、『大会荒らしのガーラ』なんて呼ばれたこともあったな……。


「他に予定もないし、行ってみるか」


 この10歳の体でかつての力を使いこなすための練習にもなる。




 さっそく大会の出場申しこみを行っている王城まで赴いた。


 王都までは数日の道程なのだが、私の足なら一日と少しで着いてしまう。

 ただし、両足が筋肉痛気味だった。


「さすがに子どもの足では負担が大きいか」


 ちょっと調子に乗ってしまったかもしれない。

 今後、長距離の移動はもっと休息を挟むことにしよう。


 ともあれ――。

 私は出場申しこみ場所である正門前までやって来た。


 特設ブースが作られていて、そこに数十人の戦士や魔法使いなどの姿が見える。

 ブースに行って、順番に並ぶ。

 が、


「だめだめ、子どもの遊びじゃないんだから!」


 出場を断られてしまった。


 ……しまった、十歳の子どもでは断られても仕方ない。


 とはいえ、ダメとなるとますます出てみたくなるな。


「そうだ、私の腕を見てくれないか? そのうえで参加できるかどうかを判断してほしい」


 私は頼みこんだ。


「少なくとも、そこらの大人には負けない」


 というか、私は出場者の誰よりも年上なのだが。


「あらあら、あまり調子に乗らないことね」


 一人の少女が出てきた。


 金色の髪をツインテールにした可憐な美少女だ。

 年齢は十七、八歳くらいだろうか。


「あ、あんたは――」


 周囲がざわついた。


「前回大会ベスト4! 『雷撃剣のアリス』!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る