11 VS炎竜王ブレイズ2
「私は武神ガーラだと言ったろう」
彼女に微笑む私。
「これで証明できたかな?」
「武神……だと」
ブレイズがうなる。
「まさか……まさか、本当にフレア様が言った通りのことが……」
ん?
「い、いや、認めぬ! たかが人間が、この俺のブレスを防いだなど! あってたまるかぁぁぁぁっ!」
絶叫とともに竜の体が、いきなり縮んだ。
「これは――」
「変化か! ならば、術の最中は攻撃のチャンス――!」
ルナリアがいきなり飛び出した。
「おい、よせ!」
「いいや、このまま行く! やはりあいつはあたしが倒さねば――」
王女としての責任感が悪い形で出たか!
私は慌ててルナリアを追いかける。
――いや、追いかけようとした。
がくん。
「!?」
突然両足から力が抜ける。
「これは……!」
まさか。
まさか――筋肉疲労か。
かつての肉体なら考えられないが、今は10歳の肉体である。
私が思っていた以上に、この体にはスタミナというものが欠けていた。
「ここまでの道中で力を振るっただけで、体が……ちいっ」
ペース配分を誤った。
私としたことが不覚だ。
「【加速】――」
ルナリアの動きが一気にスピードアップした。
【加速】スキルで間合いを詰め、剣を振り上げる。
「くらえ、【大斬撃】!」
【斬撃】スキルの上位に位置する強力な攻撃技だ。
あれを使えるということは、やはり彼女は一流である。
並の戦士や騎士では、彼女には歯が立つまい。
しかし――、
ごうっ!
吹き荒れた火炎が、ルナリアをあっさりと吹き飛ばした。
「ルナリア!」
動きが鈍った体でなんとか彼女の元に駆け寄る。
「はあ、はあ、はあ……」
とっさに防御系のスキルを使ったのか、ルナリアに大きなケガはなさそうだ。
とはいえ、スキルの連発でかなり消耗したのだろう。
地面に倒れたまま、起き上がれない様子だった。
「すまんな……きっとあたしは功名心にはやったんだ。面目ない」
私を見て、謝る彼女。
「違う。君は民を思う気持ちが強かっただけだ。だから『自分も何かしなければ』と無謀な攻撃をしてしまったんだ」
「少々……かいかぶりだ。あたしは本当に」
「とにかく、もうしゃべるな。あとは私に任せてくれ」
ルナリアを地面に横たえると、私はブレイズと対峙した。
目の前には、真っ赤な髪を逆立てた青年が立っていた。
「人化――か」
「これが俺の最強の戦闘形態だ。さあ、ひねりつぶしてやるぞ、人間!」
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