10 VS炎竜王ブレイズ1
「貴様らか、この俺に挑もうという不届き者は!」
すさまじい爆音が響いたかと思うと、巨大な火球が降ってきた。
火球が弾け、中から一体の竜が出現する。
「派手な登場だな」
私はつぶやいた。
一方のルナリアは青ざめている。
「向こうから来るとは……業を煮やして出てきたか!」
「その反応からすると、やっぱりあいつが炎竜王で間違いないのか」
「……ああ。炎竜王ブレイズ――あたしたちの、敵だ」
私の問いにうなずくルナリア。
「吹けば飛ぶような人間がぁぁぁぁっ!」
ブレイズが吠えた。
その音圧だけで周囲が燃え盛り、爆発する。
「その『吹けば飛ぶような人間』に今から討伐される気分はどうだ、ブレイズ?」
私は竜王を見据えた。
「『先代』はもう少し人間を尊重してくれていたが……君は違うようだ」
「何、先代だと?」
「先代炎竜王『フレア』――かつての私の友だ」
「ははははははははは! 何をたわごとを!」
ブレイズが笑う。
確かに人間を取るにならない存在だと見下す彼には信じられないことだろう。
だが、嘘ではない。
私はかつて――もう七、八十年も前の話だ――先代の炎竜王フレアと友だった。
一時期はパーティを組み、一緒に冒険をしたこともあった。
その後、竜族と人間の大規模な戦争などもあり、彼女とは離れ離れになってしまったが……。
フレアの方はブレイズに炎竜王の座を譲った後、世界中を放浪しているという噂を聞いたことがある。
もし所在が分かったら、また会いたいものだ。
と、
「何をボーッとしている! 焼き尽くしてやるぞ、人間どもぉっ!」
ブレイズが叫んだ。
ごうっ!
その口から火炎の渦が吐き出される。
炎のドラゴンブレス。
「くっ……」
ひるむルナリアをかばい、私が前に出た。
「
拳を腰だめにして構える。
「【
ごばあっ!
その名の通り爆音にも似た破壊音が響いた。
私の拳が生み出した爆風だ。
その風が炎のドラゴンブレスを完全に吹き散らした。
「な、な、な、な……!?」
ブレイズは呆然としている。
「お、お前、今何を――」
ルナリアも同じだ。
目を丸くして私を見ていた。
「不敗流奥義【轟爆】。闘気の燃焼と拳圧によって生み出した破壊衝撃波及び爆風によって火炎系などの攻撃を完全に遮断する技だ」
「い、いや、技の説明を聞いてるわけじゃなく……ま、まあ、技の説明は説明で聞きたかったが……」
ルナリアはあいかわらず目を丸くしたまま。
「たった十歳の子どもが、なぜそんな規格外の武術を身に付けているのか、と聞いている!」
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