第3話 街灯下と本当の強さ
ラルムでは常に、街灯が道を照らしている。
家から離れるに連れて、少年の歩みにぎこちなさが現れてきた。リュックも、家を出る時より重そうに見える。後ろから聞こえてくる、いくつかの足音。
「よう、ティア」
勢いよく少年の肩に手を回した彼に、ティアは怯えているのだった。
「…うん」
「声小さ〜」
彼は小馬鹿にしたように笑うと、彼と一緒にいた2人の子供も笑った。
彼の名前は、ダムア。
いつも男子と女子を1人ずつサイドに抱えていて、3人で少年のことをいじめるのだ。
「体だけじゃなくて、声も小さいのかよ」
冷やかしのように、サイドの女子が言った。
ティアは、周りの同世代と比べると小柄だ。
「今日も地球のキーホルダーつけてるぞ。地球に人間がいるとか言って、いるわけねえだろ」
彼の笑い声が、少年の耳を殴る。少年の瞳から、涙が溢れ、頬を伝って地に落ちた。
「…いるもん!」
涙が溢れる瞳で、はじめて少年は真っ直ぐ彼を見た。
「証拠もないのに、何言ってんだよ!」
少年が口答えしたことに、彼は腹を立てた。
「いないっていう証拠もないのに…」
少年は、苦しそうに呟いた。かじかんでいるはずの少年の小さな手は、強く拳を握りしめていた。
「こいつ…っ」
彼は勢いよく少年を押し倒した。
彼にいくら蹴られても、少年は何もしない。うずくまって、ただ静かに、大粒の涙を流していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます