にゃーと鳴くネコ

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　ネコの冷たくなった体を撫でながら、男性は聞きます。

「キミは幸せだったかい？」

　突然、強い風が吹きました。

　風がやみ、虚無に近い程の無音が、その場に訪れます。

「にゃー。」

　どこからともなく、聞こえたその声に、2人はキョロキョロと周囲を見回します。

「おじさん！！」

「あぁ…。」

　男性は、腕にヒジをついて、目頭を押さえています。

「私たちの気持ち、届いたね！」

「あぁ……。」

　男性の声は震えていました。

「想いは伝わるね。」

　まっすぐ、前を向いた少女が、言いました。

「あぁ…。」

　男性の声は、もう声になっていません。

「いつか、きっと、ネコさんと会えるよ。」と、軽やかに話す少女は、まるで、何かを知っているようです。

「あぁ………。」

　少女のそんな姿に、男性は、全く気付く様子もなく、腕にヒジをついたまま、目尻からも涙が伝っていました。