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麦茶とミルクと紅茶を手に、男性が戻ってきました。
ネコにミルクを差し出すと、女の子が、男性に向かって話しかけます。
「あたい、おじさんは、もう帰ってこないかとおもった!」
「にゃー。」
「……ここは私の家だ。何があっても帰ってくる。」
「なんだー。心配して損した。」
「悪かった。」
「にゃー。」
帰ってきてくれれば、それでいい…と、言っているようなネコの鳴き声に、男性も安堵しています。
「それより、この惨状はなんだ。」
「あはは…。ごめんなさい。キレイにしようとしたら汚くなった?」
「不思議だな。」
「不思議だね。」
2人は飲み物を口に運びます。そして、男性が沈黙を破ります。
「今度教えてやる。」
「…?」
「やり方を知らなければ、ムリもない。今度、花も、片付けも、教えてやると言っている。」
「ホント?!ありがとう!」
と、反射的に応えた女の子でしたが、しばらく考え込んでから、
「でも、おじさん帰ってくるならいーよ。」
さも、自分がやる必要はないとでも言いたげな態度を見せました。
すると、男性は、
「後学のために、身に付けておきなさい。」
と、たしなめました。
「えーでもー…。」
と、反論する女の子に、男性は目で訴えかけました。
「はーい、頑張りまーす。おじさんには敵わないや。」
女の子が降参しました。
「まだまだ負けんぞ。」
男性は、チカラコブを作ります。
「亀の甲より年の功かー…。」
ぽそっと呟く女の子に、男性はきっと睨みます。
「よく、その言葉を知っているな。」
「えへへ。ごめんなさい…。」
「にゃー。」
ネコが仲裁に入ります。
「ネコさんも、年の功?」
「にゃー。」
「キミも、もう若くはないのだな。」
「にゃー。」
「いつか、ネコさんも、おじさんみたいに、いなくなる?…。」
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