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 それから数日後、女の子は、またやって来ます。


 今日は、ネコの姿が見えません。





「お花!!!」




 叫んだ視線の先には、枯れたお花が、たくさん見えました。




「……なんで…?たくさんのお水とたくさんの肥料あげたから、元気になると思ったのに…。」



 女の子は、その場にガックリと肩を落として、立ち尽くしました。呆気にとられた時間を太陽が傾くまで過ごした後、




「今度はキレイに咲かせよう。」と、声に出して、立ち上がりました。




 その時、初めてネコが女の子の足元に来ているのに気付きました。





「にゃー。」



 女の子は、腕で涙を拭います。






「ネコさんも応援してね!」


 女の子は、屈んでピースサインを突き出します。




「にゃー。」



 そんな女の子のピースサインをくぐり抜けたネコが、女の子の足元に近付きます。



「にゃー。」




 女の子は顔をヒザにうずめて、盛大に泣き出してしまいました。




「にゃー。」


 ネコは、女の子を慰めるように足元に、ぴったりと寄り添っています。





「…ありがとう。おじさん帰ってくるまで頑張って、守ろうね。」





「にゃー。」









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