4. 学校①【妹ちゃんを犯罪者から守る会】

 学校では俺が柚乃を襲ったという噂で持ちきりだった。おそらくSNSによる拡散だ。情報が早いね〜。

 半径3m以内に人が全くいないぞ。やったね。俺のパーソナルスペースは広い方だからありがたいわ〜。

 ごめんなさい嘘です。去勢張りました。


 だってさ、周りから『えっ、じゃああの人が…』とか『最低』とか『柚乃ちゃん、かわいそ〜。あんなのが幼馴染だったら自殺するわ〜』とかがめっちゃ聞こえて、俺のHPをゴリゴリと音を立てて削っていくんだよ‼︎


 無理にでもテンション上げていかないでやってられるかってんだ、コノヤロー‼︎

 ねぇ、泣いてもいい?

 こうなったら我が嫁、ユ○アーナに癒してもらう他あるまい。


 ……やってしまった。

 昨日、荷解きが終わった後、疲れてそのまま寝ちゃったからラノベを一冊も持ってきていない。俺のメンタル回復アイテムが……。

 さらに辛いことは続く。


『ぐぅぅぅ〜』


 俺の腹の虫が鳴いた。というか今更だけど、やけにお腹が空くと思ったら俺、一昨日の夜からなんも食べてなくね‼︎ヤバい、一回気が付いたら猛烈に腹が減ってきた。……どうしよう。


「お兄ちゃ〜ん‼︎」

「れ、玲奈?」


 急なことで、つい声がうわずってしまった。どうやら玲奈が俺の教室に来たようだ。そして、先程までうるさかった外野は打って変わって静かに俺達へ視線を注いでいる。

 玲奈ってスゲェ〜。

 さすが美少女。


「一昨日の夜からなにも食べてないかもと思ってお兄ちゃんのお弁当2個作っといたから、届けに来たの」

「女神だ……女神がいる……」

「まぁ、私は女神みたいに可愛いからあながち間違いじゃないかもね」


 いや、確かに玲奈は可愛いけど自分で言うのはなんか違うような気がする。

 それに可愛いは可愛いけど……


「女神は綺麗系でお前は小動物系だからちょっと違うかもな」

「可愛いの部分は否定しないんだ〜」

「あ、あくまで、客観的事実としてだからな」

「はいはい、そういう照れ隠しいらないから。それより朝ごはんのお弁当、食べる時間無くなっちゃうよ」


 なんか俺の方が年上なのに軽くあしらわれた気がする。ぐぬぬ……だが、ここで感情を表に出すようなことはしない。


「お弁当ありがとう、玲奈」

「どういたしまして。じゃあそろそろ私も帰るね」

「車に気を付けてな〜」

「お兄ちゃん、今のは寒い」


 そう言い残して、玲奈は俺のクラスから出て行った。

 この行き場のない恥ずかしさを俺はどうしたらいいのだろうか?変に冗談なんか言うんじゃなかった……。そして、玲奈が出ていったと同時に外野たちが俺と玲奈について何やら勝手な憶測を始めた。


『あのクズが自分の妹を脅迫してんじゃない?』

『なるほど。確かにそれなら辻褄が合うな。では、あの妹ちゃんは心の中で助けを求めていたのか‼︎クソッ、なぜ気付かなかったんだ‼︎』


 そもそも助けを求めてないからだよ‼︎


『きっと家では壮絶ないじめを受けているのだろう』


 俺、昨日から一人暮らしだから‼︎


『みんなで、あのクズから妹ちゃんを守るぞ‼︎』


 むしろ俺がお前らから玲奈を守るわ‼︎

 こんな危ない宗教団体の近くに玲奈は置いておけん‼︎


『あのぉ、もしただの仲がいい兄妹だったら?』


 やっとまともな奴が出てきたぞ。

 これで少しは周りの連中の頭も冷えるだろう。


『その可能性はない‼︎なぜなら奴はクズだからだ』


 俺の周り、頭から決めつける人多くね?

 俺の両親とか柚乃とか。


『お〜なるほど』


 いや、それで納得すんなよ‼︎

 一瞬でもまともな奴って思って損したわ‼︎

 

 それからも会議(?)は続いたのだった。

 結果、【妹ちゃんを犯罪者から守る会】の発足。

 そして、俺は称号【妹を脅迫するクズ】を獲得。

 嬉しくねぇ〜‼︎



 ……さて、もうそろそろ慣れてきたし周りの声は気にせずに玲奈が届けてくれたお弁当を頂くとするか。

              (←順応能力高め。)




 お弁当はいつも通りとても美味かったです。








 ____

 ________


 昼休み。

 玲奈がいつものように俺を昼飯へと誘いに来た時だった。


「お兄ちゃん、お弁当一緒に食べよ」

「そうだな」


 そうして屋上へと向かおうとした時、【妹ちゃんを犯罪者から守る会】の会長であり、委員長でもある爽やかイケメン君に止められた。


「君達、ちょっと待つんだ」


 いかにもって感じの奴だな。

 俺、こういう人嫌い。

 自分が惨めに思えてくるもん。


「俺達のことでなにか?」

「新鞍くん。いい加減妹さんを解放してやってくれないか。というか解放しろ‼︎」


 さっき話してた俺が玲奈を脅迫してるってやつか。

 ハッ、アホらし。 

 この偽善者が‼︎

 下心が見え見えなんだよ‼︎


「解放もないも俺は玲奈に何もしてないんだが?」

「黙れこの犯罪者が‼︎」


 まともに相手するのは時間の無駄だな。玲奈と一緒にいる時間が減ってしまう。


「玲奈、もう行k『お兄ちゃん、ちょっと待っててね』あっ、はい分かりました」


 ヤンデレオーラ(?)を纏った玲奈が食い気味に言ってきた。本能が逆らってはいけないと言っている。

 うわー、玲奈ってばガチギレしちゃってるよー。もう、目が逝っちゃってるもん。こわ〜い。


「すぅ……」


 玲奈が思いっきり空気を吸った。








 次回『学校②』

 一体玲奈は何をするつもりなのか⁉︎

 爽やかイケメン君が、異常なまでの執念を見せる⁈

 お楽しみに‼︎


 ☆が欲しいなぁ〜。コメントが欲しいなぁ〜。

 誰かつけてくれないかなぁ〜。(チラッチラッ)

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