5分で終わる恋

ぽぽぽ

はじまりで終わり 

 高卒で就職、今年で21歳、1月の寒い20時、

 田中は、先輩の結婚式の余興の話があると言われ

 友達からコンビニに来るように言われ、

 社会人の鏡5分前行動をしてしまった。

 当然友達はまだ来ておらず、

 仕事終わりでお腹も空いていたのでコンビニに入る。

 客のいない店内をグルグル回る、ホットの午後の紅茶をもちレジに着く。店員さんは奥で作業をしているようだったので一言声をかけた。


 田中『すいませーんレジお願いします。』

 店員さん『すいませんすぐ行きます。』

 田中は何も急いでいなかったのですいませんの一言に申し訳なく感じ、小銭を数えた。


 店員さん『お待たせしました。』

 田中『肉まん2つお願いします。』

 店員さん『かしこまりました。』


 そう言ってアルコール消毒をして、肉まんを取り出す。

 店員さん『あっっあつっ』

 普通トングで入れるはずなのに

 あろうことか手で入れていたのだ。

 その瞬間田中は、顔を上げて店員さんを見た。


 田中は思った。

 この人タイプーーめちゃタイプ

 何なのちょっとおっちょこちょいなの?アツッて

 熱いに決まってる肉まんだもん。

 それにいくらアルコール消毒したからって、素手はさぁー

 まっ可愛いから許しちゃうけどと思いながら

 恋に落ちますたエヘッ。


 田中『大丈夫ですか?ニコニコ』

 『気をつけてくださいね。』

 店員さん『すいませんこちら手で触ってしまったのでやめておきますね。』

 田中『平気です。気にしないでください。』

 むしろご褒美なのでは?そう思った。

 そして500円を財布から出した。

 お釣りを手渡しされ、綺麗に手入れされた手だと思い

 田中『ネイル綺麗ですね。』

 店員さん『ありがとうございます。嬉しいです。』

 そうして、店を出た。

 店の前で肉まんを食べていると、さっきの店員さんが現れる。ゴミを片付けているようだ。

 一つ目の肉まんのゴミを捨てに行く。

 二つ目の肉まんを食べ始める。


 店員さん『先程の肉まんの、ゴミ捨てまでありがとうございます。』


 田中『いいえ、ゴミ捨てないともう一個食べにくくて』


 店員さん『あまりこの辺で見ない顔ですね。』


 田中『一人一人覚えてるんですか?笑』


 店員さん『この時間は、結構暇で来た人何となく覚えちゃうんですよ笑』


 田中『へーそうなんですね。』

『お姉さんは、いつからここのバイトを?』


 店員さん『2ヶ月前ぐらいですかね。この辺に引っ越して来たばかりで…知り合いも居ないんで寂しいんですよ。』


 田中『越して来たばかりなんですね。

 そりゃー大変ですね。』


 あれこれは連絡先聞くチャンスなのでわ??と脳裏によぎったが言葉にはしなかった。


 店員さん『何で今日は普段来ないコンビニにきたんですか?』


 田中『友達に呼ばれて結婚式の余興の話があるそうで…』


 店員さん『結婚式の余興楽しそう。私も結婚してるんですけど、披露宴とか式とかやらなかったの笑

 だから羨ましいなってニコニコ』


 ゲームオーバー田中は頭が真っ白になった。

 この人この見た目の若さで既婚者なの?へっ

 あんなに落ち着きないドジっ子なのに?へっ

 指輪してないじゃーーんズルだってそんなの


 田中『そうなんですね。そうは見えないです。

 お若いですね。』

『どんな余興見たかったとかあります?』


 店員さん『えっそう言われるとパッと思いつかないけど笑』


 田中『そうですよね笑僕も質問しながらこの質問嫌だなって思いました。笑』


 肉まんを食べ終わりゴミを捨てる。

 そして田中は、ある事に気づくこの店員さん肉まん食べ終わるまで待ってたんだ、それで僕の話し相手までしてくれたんだ。急におっちょこちょいな店員さんから気の利く大人の女性に見えた。


 友達が歩いてくる。


 店員さん『お友達来たんじゃない?頑張ってね!!応援してる!!』


 田中『ありがとうございます。お姉さんもこっちでの暮らし慣れるように頑張ってくださいね。』


 バイバイをする2人


 友達『えっ何話してたの店員さんと』


 田中『んっ世間話だよ』


 そう言いながら助手席に友達を乗せる。

 エンジンをかける。駐車場を出ようとする。

 その時ふとコンビニに目をやる。

 あの店員さんは笑顔で重そうなゴミを持ちながら手を振っていた。2回目の恋に落ちた。


 田中『このコンビニ品揃えいいよな通うかな』


 友達『いやコンビニなんて変わらんだろ笑笑』


 完



 この度はぽぽぽの日常に転がる単細胞な、

 恋のお話読んで頂きありがとうございました。


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